大好きなんだよ
『37度8分…』
起きたら頭がガンガンして喉もすごく気持ち悪くて鼻水もひどくて、尋常じゃないと思った私は、体温計を出して計った。
この結果だ。
『学校行けないな…』
当然、部活も休むので幸村くんにメール。
ああ、しんどい。冷えピタあったかな。
すぐに幸村くんから返信がきた。
"大丈夫かい?無理はするなよ"
大丈夫じゃないんだなこれが。
結局冷えピタなかったし、仕方ないこのまま寝よう。
ベッドに戻り、うとうとし始めたころ、携帯の着信音が響いた。
『えっ幸村くん?』
今部活をやってるはずの彼から電話がくるなんて思わなかった。
『もしもし』
「なまえかい?今家向かってるから鍵開けておいてね」
『はい?』
「あ、もう着いちゃったてへぺろ」
はいいいいい?
てへぺろですって?
てかもう着いちゃったって?
ふらふらしながらも急いで玄関に向かい、ドアをあけた。
「なまえが体調を崩したと聞いてな」
「精市やみんなの意見で、お見舞いにきた」
「超ピッチでいろいろ買ってきたぜぃ!」
見慣れた面子が勢揃いして私のお見舞いにきてくれたのだという。
鼻の奥がつんとして、泣きそうになったけど我慢した。
人の顔を見てちょっと安心して、一瞬だけ目眩がした。
「おっと…お前さんすごい熱じゃの」
『え、7度8分だったんだけど…』
「ただの風邪だからって、なめてたらだめだぞ」
「早く休んだほうがいいかもしれんのぅ」
あんたらが来たからだよと突っ込みたかったけど、わざわざ時間を割いて私のために来てくれたのだと思うと文句なんて言えない。
「とりあえずなまえさんはベッドで休むべきですね。わざわざお出迎えさせてしまって申し訳ありません」
『そ、そんなこと、こっちこそ時間割いてまで来てもらって』
そこまで言うと、仁王くんが私の肩をぐっと引き寄せて(目眩で倒れそうになったときから支えてもらっていたのだ!)私の口に手を当てる。
「それは違うぜよ」
『?』
「なまえ先輩だからみんなで来たんスよ!」
赤也くんがにっこり笑って言った。
本当にこの後輩には癒される。
『ありがと…』
「あんまり無理はさせられないよ。さあ、美味しいとこ横取りした仁王、なまえをベッドまで運んであげて」
「…言われんでもするぜよ」
やたらひがむように幸村くんが言った。
なんだろ?
いろいろ考える間もなく、仁王くんにお姫様だっこをされてしまった。
ぞろぞろと私の部屋に入って、丸井くんが袋からいろいろ出した。
「ゼリーとかな。喉痛くても食べられるよな?」
『うん』
「なまえのことだから、冷えピタなくてどうしようもできないだろうと思ってね。買ってきたよ」
『…幸村くんには何でもお見通しなんですね』
冷えピタないのバレてるってどういうことよ。
ジャッカルくんがぺたっと貼ってくれて、すごく気持ちがよかった。
「あんまり起きているのも身体に障るから早めに休め」
真田くんは言葉はきついようだけど、すごく心配してくれてることがわかる。
「そうだね…長居はよくないな。なまえが眠ったら学校に戻るよ」
『ご、ごめんね…遅刻扱いにならない?』
「大丈夫ですよ、そこらのことは先生方にも話を通してありますから、心配はいりません」
「そういうこと。だから早くよくなれよ?」
口々にそう言われ、私は幸せだなぁと思った。
布団にもぐり込むと、みんなが私のお見舞いに来てくれたという嬉しい気持ちでいっぱいになった。
安心感も増し、それと共に眠気も襲ってきた。
「寝たな」
「可愛いっスねえ」
「さあさあ、早く戻るよ。学校が終わったらまた様子を見に来よう」
みんなは静かに部屋を出ていった。
去り際に誰かが私の頭に手をのせたような気がしたけど、夢の中に入りすぎてわからなかった。
*end*
―――――
動かしやすいキャラとそうじゃないキャラがいるので仕方ない。一応みんな出てるはず。たぶん。