ツンデレ
ピー ピー ピー
さてこの音はなんの音でしょうか?
ピー ピー ピー
わかりませんか?
ピー ピー ピー ピー…
「くそっ!オヤジっちが死んだっ!」
「たまごっちかよ!!」
ナイスツッコミをかましたのは染岡。今はツン岡。いつかはデレ岡。今日はどしゃ降りでサッカー部はお休み。だから私は染岡のさしていた傘に乱入して図々しくとも、そのまま家に上がらせてもらった。しかし、染岡の家に来ても何もする事がない。遊び相手になってもらおうとしたらいきなりスポーツ雑誌を読みはじめてしまった。チクショー。折角かわいい女の子が部屋にいるんだからセクハラの一つや二つやれっていう話だ。でも染岡はそんな事はしない。なぜなら私たちは付き合っていないからね。
「そめおかぁー、あそんでよぉ…暇で暇で、名前ちゃん死んじゃうよー」
「お前はウサギかよ…寂しくたって死なねーよ」
「酷い!冷たい!冷徹男!やっぱりアンタは吹雪の野郎が好きなのね!」
「誰が冷徹男だ!そしてなぜ吹雪が出てきた!?」
「いや、なんとなくかな…」
「……」
そしてまた沈黙がながれた。染岡、アンタってヤツは…私と言うものが今目の前にいながら…!
「アンタなんか雑誌と結婚してろ」
「おい、いきなりなに言い出すんだお前…」
「名前で呼びなさいぃ!私はお前って名前じゃありませんから!ちゃんと名前って名前があるんですから!」
「お前なぁ…」
突然そんな事を言われても困るって言いたいようだ。けれど私はAKY(つまりあえて空気読まない)人間なので、染岡の布団に潜った。
おう、布団の中は染岡でいっぱいだ。匂いが染岡。ちょっとだけ塩気が…これは汗ですね、ハァハァ
フフッと小さく笑うと染岡が布団を私から引き剥がして「名前、今変な事考えてただろ」って言われた。
「しし失敬な!私は染岡の匂いを嗅いでいただけ…ん?」
今染岡はなんと言いましたかな?「名前」って名前で呼びませんでしたか?「今なんて言った?」って聞き返したら顔を真っ赤にして「なんにも言ってねえよ!」って怒られた。たしかに言った!絶対言った!私は聞いたもの。染岡が今私を下の名前で…「名前」って…
「染岡ー!!」
「どわあ!なんだよいきなり!」
「好きだー!結婚してくれー!」
「いいいきななりなに言い出してるんだ!バカ!」
思わず勢いで告白してしまった。