ガシッ

「ヒィ!!……な、なにかな爆豪くん」
「………」


午後のヒーロー基礎学演習前、いきなり爆豪くんに後ろから首を掴まれた。
なに、怖い!こ、殺されるのか!?私何もしてないぞ!

「…首」
「くび?」
「なんで出してんだ」

え?なにそれ、普通に暑いから髪括ってるだけなんだけど…
あ、あれっすか?なんで首ついてんだよ死ねよモブがってことっすか?やめてくださいよそんな!


「えー…っと、今日暑いから髪括ってるだけでして…」
「…なんで上着てねぇんだよ」
「着てるよ!?失礼だなちゃんと着てるよ!?」

君には見えないのか!?確かに最近ずっと体操服上に着てたけど!ちゃんとコスチュームは着てますとも!っていうか首放してくれませんかね!?なんかソワソワするからやめて欲しいんだけど!

「今日やけに暑いもんなー俺も上脱ぐかな」
「そのまま蒸発しちまえ無能」
「ヒデェ!爆豪ヒデェな!!」

ああ、すぐ側にいた上鳴くんまでもが犠牲に…なんなんだろう、暑くて機嫌悪いのかね?

「爆豪くん暑くて機嫌悪い?轟くんに冷やしてもらった…いたたたたっ!」
「るせぇ」
「なになんで私が何したのってか首は普通にヤバイからやめてえ!」
「爆豪やめてやれよ、ミョウジが可哀想だぞ!」
「チッ」

えええ、舌打ちって何なの本当理不尽だな。
上鳴くんのお陰でやっと首を離してもらえた。たまには役に立つね上鳴くん!

「………」
「な、なに。なんなの今日おかしいよ?」
「黙れ。お前が悪い」
「(なんだと)…何が悪いの?ちゃんと言ってくれないとわからないって」
「………」

黙りか。なんからしくないな。もしかして熱でもあるんじゃない?なんか顔も赤い気がするし。
そっと爆豪くんの額に手をあてる。うーん熱いようなそうでもないような。

「っ!」
「熱は…ないみたいだけど」
「てっめぇ…」
「いたたたたたっ!」

今度は手かよ!爆豪くん手ぇ大きいし、個性があるからちょっと怖いんだよ!

「痛いって!もうちょっと優しくしてよ!」
「はっハァアアア!?何言ってんだお前!」
「お前が何言ってんだ!」
「ミョウジってたまに口悪いよな。」

いいから助けてよ上鳴くん!さっきの役立つ宣言撤回するよ!?

「…こんくらいか?」
「え?」
「こんくらいなら痛くねぇのか?」

確かにさっきより手を掴む強さが弱まった気がする。

「ん、まだちょっと強い…かな?」
「…こんくらいか」
「ああ、うん、これなら痛くないよ」
「…そうか」



え?何、なにやってんの?
なんかまだ手放す気ないっぽいし…やだ、なんかちょっと恥ずかしくなってきた

「ちっちぇえな」
「爆豪くんのが大きいの」
「すぐ折れそうだな」
「そんなヤワじゃないよ」
「…やわけ」
「…爆豪くんは、硬いね」

男の人の手だね


「………」
「………」
「…え、なんなんこの空気。俺邪魔?」
「死ね無能野郎」
「とばっちりじゃねぇかよ!ヒデェ!!」


爆豪くんに威嚇されると上鳴くんはそのままどこかに行ってしまった。小物みたいだな。


「おい」
「ん?」

てか、手、まだ放さないのかな。そのままでも別に、いい、けど

「んな無防備でいて食われてもしらねーぞ」
「え?私?」
「無知は言い訳になんねーんだよ」
「わ!っ!!」

掴んでる手をいきなり引っ張られてバランスを崩す。
爆豪くんにぶつかったと思うとまた首もとを掴まれた。

「ちょ!なにっひぅ!!」

首掴むのやめてと非難しようとしたら、感じたことない生暖かいものが首筋を這った。
ななな、舐めた…!人の首を…!

「ちょ!やっ!」
「るせ」
「いっぁ!」

ひとしきり舐めた後、そのままカプリと噛み付かれた。食われるって…食われる(物理)なの!?

「うっ…ば、くご」
「……」

首元に歯を立てられてるから下手に喋れない。怖い!このままムシャアってブシャアってなるの!?やめて誰か助けて!上鳴くんカムバァック!!

あれ、ってか左手!どこ触ってんの!!?

「やっめ、ぃたい」
「………」

食べる(物理)だと思ったらやっぱりソッチ系の食べるなのか!?左手が私の胸に食い込んでるよ!痛いよ!恥ずかしいとか思う以前の問題だよ!!

「…こうか?」
「んぅ」

さっきの手みたいに、だんだん力を抜いて私の様子を伺っている。いやあの、放していただけると大変嬉しいのですが

「何も考えないで肌晒してっからこうなんだよ」
「(そんなバカな)ご、ごめん、上着るから!」
「わかりもしねーのに謝ってんじゃねえ」

言うとまた首元に唇を這わしてくる。ゾクゾクするからヤメて!

「ぃった!」
「これで首も出せねーな」

ピリって感じの軽い痛みが走ったけど、まさか、いやまさかだよ。そんなアホなこと…

「見せびらかしてーならそのままでいろよ」
「あんた…まさか…」
「俺に付けられたって言うんだぞ」

ニタァっと背筋が凍るような笑顔を残して、何事もなかったように去っていった。
もうすぐ演習が始まる時間…隠そうにも時間がない。くそ…やり逃げかよぉ!!

結局、午後は無駄に熱苦しい思いをするハメになった。



爆豪勝己の忠告
もっと他にやり方ないの!?


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