「あ、切島ばいばいー!また明日ー!」
「おう!じゃーな!」

ぽんぽんっ

「!」


不意打ちだった
普段はそんな事しない、というかされたのは初めてだ。
こ、これが乙女がトキメクという頭ポンポンか!


「(うわああ、うわああ!なんか嬉しいような恥ずかしいような!)」
「ナマエ、今さり気なくポンポンされてたね!このこの!」
「やっ、やめてよ三奈ちゃん!からかわないで!と、特に深い意味は無いって!!」
「そういえば、男性側からすると‘頭ポンポン’には深い意味は無いらしいわね。あっても妹や小動物に対する様な庇護欲でしているのだとか…」
「…梅雨ちゃん、それマジ?」


な、なんか一瞬で現実に帰った…!
そういえば前にちょこちょこ動いてるだの、守ってやりたいだの言ってた気がする
…え、私もしかして妹扱いされてる!?


「(もしくはペット扱い…?)」
「えー、でも私が見た雑誌だと抱きしめたいけど我慢してポンポンするって書いてあったよ?」
「なっ!えっ!!」
「真意は人それぞれということね。ナマエちゃん一喜一憂してるみたいだけど、明日聞いてみたら?」
「いっ、一喜一憂なんてしてないよ!」


でも…気になる…すっごく気になる!






「だからって直接本人には聞けないよー!」

お風呂あがりに部屋のベッドにダイブしながら、帰りがけからずっと言いたかったことを叫んだ
そんなさ「私の事どう思ってポンポンしたの?」なんて言えるわけないじゃん!


「あ!直接でなければ…聞ける…かな…」


思いついたらいざ!文明の利器である電子機器を取り出してメッセージを送る。
大丈夫、切島なら変に深読みしないはず…多分…





「あれ、なんかきてる。あ…ミョウジだ!」

日課のトレーニングを終えて風呂も済ませ、夜食にでもありつこうとした時だった。
毎日の様に顔を会わすクラスメイトからの連絡はそう珍しいことではねえが、やっぱ女子からだとテンションが違う。


「(女子っつーか、ミョウジだからか)ん?」


見慣れた画面に映るミョウジからのメッセージに一瞬目を疑う
『私って妹っぽい?』って…なんだこれ?
あまりにも唐突過ぎる質問になんて返していかわかんねえ、が、とりあえずは返信しねーとな。


『いきなりどうした!?』
『んー、なんとなく!もしくはペットっぽい?』

「はぁ!?」

わかんねえ…ミョウジに何が起こったんだ!?
考えても埒が明かないだろうと判断した末、彼女に一度確認をとって通話をかける。

1、2コール後に聞き慣れた声が電子越しに聞こえてきた。そういえばミョウジと電話で会話するの初めてだな


『こんばんはーごめんね変なこと聞いて』
「おう、いやいいんだけどよ。なんかあったんか?」
『えっいや別に?何もないよ!』
「何もなくねーだろ。相談ならのるぞ!」


明らかに声が動揺している。
無理に聞き出すのも悪いかも知れねえが、俺に連絡してきたってことはそれなりに頼られてると判断するぞ!俺は!


『あ、あのさ』
「おう、ゆっくりでいいぞ」
『うん、ありがとう』


ミョウジのペースで聞くために、ベッドの端にどっしりと腰掛ける。
いつでもなんでもこい!


『き、切島は私の事どう思ってる!?』
「はぁっ!?」
『あ、違う!変な意味じゃなくて!』


本日二度目の唐突過ぎる質問につい声を上げちまった!いや怒ってるとかじゃねえぞ!


『んっと、ほら、妹っぽいとか、ペットっぽいとかあるじゃん?』
「いや、普通クラスメイトにはそう思わなくねえか」
『えっそうなの』
「…少なくとも俺は、」


俺はミョウジのこと女として見てるって言おうとして止める。いやヤバイだろこの返答は


『俺は?』
「あー、俺は…ミョウジのこといいヤツだと思ってるぜ!」
『いいヤツ?』
「そう!いいヤツ!話してて楽しいしよ、女子ン中で一番仲いい奴!」
『!…ほんと?』
「おう!」


我ながらに上手いフォローだと褒めてやりてえ!
実際嘘ついてないしな!


『私もね、切島のこといいヤツだと思ってるよ!男子の中で一番カッコイイ奴!』
「っ!?」
『変なこと聞いてごめんね?また明日学校で!』
「あ、おい!」
『おやすみなさい切島!』
「あ、うん…おやすみ…」


数回の電子音の後に残る静けさの中、俺は手にケータイを握ったまま外に出た


「ちくしょう!言い逃げかよ!!俺だってなぁー!ミョウジの事めっちゃ可愛いって思ってるっつーの!!!」


悔しさからか嬉しさからかはわからねーが、その後色んな事を叫びながら町内一周して走り回った。
トレーニング後なのによ…また風呂入らねえとな
そんな事考えながらも、顔のニヤつきは隠し様もなかった



切島鋭児郎の想望2
どきどきドキドキ止まらない

リクエスト:切島鋭児郎の想望 続き


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