「消えろ」
「君こそ消えてくれないかなぁ?今ミョウジさんと話してたの見てなかったの?全く空気の読めないヤツは嫌だね」
「んだと?」
「あーあ、相変わらず煽り耐性ゼロだね、そんなんでヒーロー目指してるの?正直さ、敵役の方が似合ってるんじゃない?個性含めて適任だよ」
「ああああああまた始まった…」
「…あんたも大変だな」
「やめて、私関係ない」


本日の授業も全て終了し、後は帰るだけ!と足取り軽く教室を出た時だった。
隣のクラスの物間くんとそのお友達の黒い人に話しかけられ、そのまま廊下で談笑を始める。
と言っても、いつもほとんど一方的に物間くんが喋ってるだけだけど。


「ミョウジさんの個性って便利だよね。今度コピーしてもいい?」
「いいけど、5分間しか使えないんじゃないの?」
「そうだね、だから使いたい時そばにいて欲しいんだよね。なんとかしてB組に編入できないかな?」
「なんと言う私的理由!」
「させるわけねぇだろモノマネ野郎が」
「!…出たな、ヘドロくん」
「ああ!?今なんつった!?」


物間くんがいよいよ本腰入れて話し始めようとした時に爆豪くんが割って入ってくる。
うん、なんて言うか、


「いつものパターンだな」
「…そうだね」


私と物間くんが話していると、大抵爆豪くんが割り込みそのまま言い合いを始める。
それだけならいいのだけど、たまに盛り上がりすぎて手が出てしまう。そうなると止めるのも一苦労で、なるべくそうなる前に止めようと画策するのが私と黒い彼との暗黙の了解なのである。

「(今更だけど彼の名前知らないんだよね、なんか名前聞くタイミング逃しちゃったし。)」
「そろそろ止めねーと怪しくないか?」
「え」


あまりの日常風景にぼんやりとしていると、思った以上に2人はヒートアップしていた。


「毎度毎度構ってんじゃねぇぞ負け犬野郎が!」
「それって体育祭の時の事言ってるの?あんなのルールに救われただけだろ。時間さえあれば君なんて如何とでも出来たのが分からないのかな?」
「負け犬の遠吠えか?キャンキャンうるせぇんだよ!」
「…その減らず口聞けないようにしてやろうか。幸い僕にはそれが出来るほどの力があるからね」
「オメェのじゃねえだろうが、コピー野郎。」
「君の単純な個性よりは使い道があるだろう?まぁ、爆破なんて君らしいよね。当てればデカイけど、空振ったらそれまで、だもんね。せいぜい一発屋にならないことを祈るよ」
「ハッ!弱え犬ほどよく吠えるたぁこの事だな」
「…いい加減調子付いてんなよA組が」


ああ、物間くんの口調が変わってきてる!これはヤバい!
爆豪くんも威嚇全開で今にも爆破させそうだ!


「ヤバいヤバい、思った以上に早かった!」
「お互い色々と溜まってたんだろ」
「(なんだそれカップルか)…このまま逃げない?」
「それでもいいが、あいつらの矛先が100%お前に行くぞ」
「それは予想外だ。逃げ出すのはヒーロー目指すものとしていけないよね!当然君も付き合ってくれるよね!」
「(コイツも大概だな)まぁ、止めはするけどな。但し俺が止めるのは物間だけだぞ。あっちの方はお前がやれな」
「負担が大きすぎる…!」


あの野良犬、いや、飢えた狼のような爆豪くんを止めるだと…?やめてよ私まだ死にたくない!
前はたまたま近くを通った轟くんに2人を凍らしてもらってなんとかなったんだけど…
ああ、また来ないかな、もしくは相澤先生近くにいないかな。彼らの個性を消せば、もしかしたらスンナリ事が進むかもしれないのに…


「因みに物間はああ見えて腕っ節強えからな。どちらにせよ苦労するぞ」
「もうやだ全てを投げ出して帰りたい」


現実逃避をしたくても、目の前で繰り広げられている殺伐とした空気に血の気が凍りそうだ。
隣の彼からため息ひとつ溢れる
物間くんの友人もなかなかな苦労するね


「そろそろ始まるぞ」
「げ」


「安心しなよヘドロくん、ミョウジさんは僕が面倒見てあげるからさ。何も心配せず消えてくれていい、よ!!」
「2度とその口開かねえ様にしてやっかん、な!!」


いつの間にコピーしたのか、爆豪くんと物間くんが殴りながら同時に爆破させる。
規模も同じぐらいだったのか、お互い爆風で後ろに飛んだだけだったけど…


「周りの被害考えてない…」
「そこまで頭回ってねえんだろ」

同じ威力の爆発が同時に起こったのだ。普段より周りへの影響は強くなるに決まってる。
さりげなく黒い彼が前に出て庇ってくれなかったら、爆風がモロに私にも掛かってたぞ!ガラスとか飛んでるから汚れるじゃ済まないのに!!


「ごめん、大丈夫?」
「巻き込まれるのは慣れてる。…次デカイのが来る前に止めるぞ」


なんとも頼もしい彼を尻目に爆豪くんの爆破の音が鳴り響く。
もう!本当に!


「いい加減にしてよ!!」
「!」
「!」


またドンパチ始める前に彼らを飛ばす
一気に静かになった廊下には私と黒い彼だけが残された


「…お前の個性か?どこ飛ばした?」
「上手くいってれば市街地演習場辺り」
「……上手くいってなければ?」
「………さあ、」




「おい、ここどこだ?」
「僕に聞かないでよ。あーあ、君のせいでミョウジさん怒らせちゃったじゃないか。どうしてくれるのさ」
「オメェが!言うなっ!!!」



爆豪と物間とその友人と
「(こいつが1番怖えな)」

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