体の熱も冷めぬままに、彼は私を抱えるように自室へと向かう。
服どころか身体を隠すタオルさえもロクに被せてもらえず、焦凍も申し訳程度に腰にタオルを巻いただけ。
時間帯的に家の人がいる確率も高いだろうに、もし誰かに見られたら…こんな状況でこの広い彼の家の中の移動はあまりにも不安すぎる。

「しょ、焦凍!ヤダッ…はずかしッ!」
「近くに気配がねぇから大丈夫だ」
「そ、そういう問題じゃ!」
「耐えらんねぇ、我慢しろ」

軽々と私を抱きあげる、彼の逞しい身体に触れる部分が熱い。いや、単に私の体温が高いのかもしれない。あんな事をされたばかりだから

「寒くはねえか?」
「う…ん、大丈夫だよ」

未だに頭がぼうっとする。
心臓の鼓動も恥ずかしいぐらいに速い。今まで焦凍に触れられた時のドキドキの比じゃない。あんなのまたなったら、私、頭が沸騰しちゃうんじゃないだろうか。

「(変な声でちゃうし、なんか、もう…もう!)」
「着いたぞ」

ハッと気付いた時には既に彼の部屋で、くすぐったくなる程に丁寧にベッドへと降ろされる。
幾度となく訪れた彼の部屋だけども、今ばかりはとても落ち着く事のできない空間で、そわそわっていうか、なんか怖いような…どこか嬉しいような…

「ナマエ、大丈夫か、逆上せたか?」
「え、あ、ううん、大丈夫…うん、平気…」

私があまりにもボンヤリしていたせいか、焦凍が心配し始める。なんとも言えない空気に余計に恥ずかしくなってくる。

「無理だと思ったら、言えよ」
「ん、」

言いながら横になる私に覆いかぶさり、幾ばくかの口付けをくれる焦凍。
驚くほどに熱い彼の咥内に、彼自身の体温も上がっている事が伝わってくる。と、言うより先程から冷めるどころか熱くなっているのだろう。一度達したはずの彼の半身は治るどころか、より猛々しく私を求めている。
ここで制止など出来るわけがない。こんなにも辛そうに己を抑えている彼が、こんなにも愛おしいのだから。

「焦凍…」
「…なんだ?」

そっと利き腕で彼の頭を耳筋からなぞりあげる。
ほんの一瞬だけ反応を見せるけれど、すぐにいつもの彼に戻る。それすらもやせ我慢だと理解出来るぐらい側にいる。その事実が嬉しくて涙が溢れる。

「ナマエ…?」
「すき…焦凍が好き」
「っ!」
「だから、焦凍の全てを受け入れたい」
「っナマエ!」
「んっ」

堰き止めていたものが波状するように熱い波に呑み込まれる。四肢を絡ませ、息も絶え絶えにお互いの唇を愛撫する。
ふと、鼻先も唇も合わせたまま彼が言葉を絞り出す。

「俺も、俺もお前が好きだ…何もかも、全部、俺のものにしてえ」
「…ん、」

私の返答待たずして、また口付けを交わす。
息が苦しくなるほどに、意識が彼に奪われていく。

溶けそうに熱い意識の中、ふわふわとした優しいカタチの想いをしっかりと心に繋いで
ああ、私、今、しあわせ


轟焦凍のステップ6
心を先に繋ぐ喜びを


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