しとしとと小雨の鳴る音が聞こえてくる
薄暗い部屋はいつもの彼の部屋では無く、彼の家の脱衣所

学校帰りに怪しかった雲行きは、焦凍の住む場所に向かうまでに小ぶりの雫を降らしてきた。
今朝ほどまでは雲ひとつ無い天気だったために、私も彼も雨を防ぐ手段は持ちあわせておらず、仕方なしに小走りで屋内を目指す。

私よりも足の早い焦凍に引っ張られるようにして部屋の中へ
弾む息を抑え、お互いの現状を確認する
未だ本降りではなかった為か、それほど酷い有様ではなかった。


「ちょっと濡れちゃったね」
「待ってろ、タオル取ってくる」
「うん、…っくしゅ、」
「…風呂のほうがいいか」
「えっ!いいよ!!悪いから!」
「ついでだから俺も入る」
「ふぁい!?」


焦凍の唐突過ぎる提案に思わず間の抜けた返事をしてしまった。
いや、いや!そんなあっさり受け入れるような内容じゃなかったよ!?


「な、何言って…」
「調度いいだろ」
「いや、なにが?」
「濡れていようがいまいが、どの道脱ぐだろ。体冷える前に入っちまおう」
「そ、そういうのは!もうちょっとオブラートに包んで言って!!」
「…ヤることは変わらねえだろ」
「焦凍!!」


私の怒声に軽く嘲笑ひとつ
相変わらず自分のペースで事を進めるのが得意な彼。それにまんまと流されてしまう私もいけないんだろうけど…


「ここだ…俺が脱がせるか?」
「じ、自分で脱ぐよ!焦凍先に中入ってて!」
「…風呂は溜めるか?」
「私はどっちでも…」
「なら一応溜めとくか」
「…電気は消してね」
「………」
「電気消さないなら帰るからね」
「……ちっ」
「舌打ち聞こえてるから!」


こればっかりは絶対に譲れない。
焦凍は事も無げに話を進めているけれど、私達はまだ最後まで至っていない関係だ。
恋人同士らしいことは、しているけれど、今は未だ段階を踏んでいる最中。のはず。


「(お風呂とかって、もっと親密になってからじゃないのかなぁ)」
「先入ってっぞ」
「う、うん…」


私がのろのろと上着を脱いでいる内に焦凍が浴室へと入っていく。
勿論彼が脱いでいる所は見ていない。
以前、彼の身体を見たことがあったけど、なんていうか凄い引き締まってて、凄くドキドキしてしまった。
ネクタイを取る手とかゴツゴツしてて、見とれてしまったり…


「(なんか私変態みたい…)」


恋人が脱いでいる姿を思い出すだけで頭が沸騰しそうだ。
また目の前で脱がれた日にはまともな顔で居られないかもしれない…


「(てか本当に一緒に入るの!?電気消してても色々と分かるよね!?やだどうしよう!!)ぅうう…」
「唸ってねぇでさっさと来い」
「!わ、わかってる…って!裸のままこっち来ないで!!」
「…前に見ただろ」
「そ、そういう問題じゃないの!電気もう消すよ!!このスイッチでいいの!?」
「……ああ、風呂も溜まったからな。あとはナマエだけだぞ」
「…タオル…巻いちゃダメ?」
「…そこにあるの好きに使え。どうせ取るけどな」
「う、」


分かっててもみなまで言わないで欲しい…。
このままこうしていても仕方が無いので薄っすらと濡れたブラウスを脱いでいく。一度脱ぎだすと意識していなかった寒さが肌に襲いかかってくる。
早く、温かいお湯に浸かりたい。身体はそう言ってるのに、頭から上は既にのぼせそう。
心臓がバクバクうるさいのを無理やり無視して衣服を取る。
一瞬大きめのタオルに手を伸ばしかけて、やめる。
上げた腕はそのまま浴室へと続く扉へ


「…タオルはいいのか」
「えっ!?見えるの!?」
「目が慣れればな」
「…あんまり見ないで!タオルは洗濯物、増えちゃうだけだし、その……」
「まぁ、あっても無意味だからな」
「!」


言い終える前に浴槽から出てくる焦凍
まだ私の目が慣れてないとはいえ、あまりにも心臓に悪すぎる


「えっなに!?」
「身体洗ってやる」
「い、いいよ!しょ、焦凍先に…」
「俺はもう終わってる」
「はやっ!」
「お前がもたもたしてるからだろ」
「んわっ!」


慣れた手つきで(彼の家なのだから当然だけど)シャワーを出す焦凍。
いきなり頭上からお湯が降り注いで変な声が出てしまった。
せめて一言添えて欲しい!


「あ、やだちょっと、」
「熱くねえか?」
「熱くはないっけど!」


撫でるように身体中に手を這わされる。
お湯を肌に馴染ませるような、ゆっくりとした動きのせいで一気に雰囲気までも湿り気を帯びてくる。


「ん、焦凍、自分で洗えるよ」
「まだ目が慣れてねえだろ、ほらここに手ぇ当てとけ」
「あ、」


彼の無骨な腕に誘導されて壁に両手を預け、焦凍に背を向ける姿に
意図せぬ格好に羞恥心が高まる。
直ぐ後ろにシャワーのお湯とは違う熱さを感じ、膝が震えてくる


「しょう、と」
「ナマエ、しっかり立ってろ」
「…う、ん」


比較的素直な私の返答に満足したのか、固く抱きしめ首筋に口付け一つ落とす。
羞恥か恐怖か分らないけれど、なぜか目頭までもが熱くなる。唇を固く閉ざして彼の行動を待つ。



「っ、ん」


いつの間に用意していたのか、彼の手で暖められたボディソープを胸元に塗られる。
やがて流れ続けるシャワーと合流したそれは、清潔感のある香りを漂わせながら細かい泡立ちと変わる。
今まで感じてきた愛撫とは違う感覚が私の身体を覆っていく


「ん、…ん」
「声出せ、もったいねぇだろ」
「ん、ゃあ!」


耳元に彼の息を感じたと思ったら、胸の頂に強すぎる刺激
思わず手の力が抜け、壁と胸で焦凍の手を挟んでしまう。が、彼は構わず刺激を繰り返す。

「はっア、ん、焦凍、や」
「っ、はぁ、ナマエ…」
「!あ、」


腕を曲げたことで彼と私の距離がより密着する。
背中の下、丁度腰の部分に熱すぎる焦凍の熱をアテられ、身体全体で反応してしまう。


「…欲しいのか?」
「ぁ、う…わ、かんない」
「…っ、手、かせ」

「ぅ、ん、…は、焦凍」
「ん、大丈夫だ。俺に任せておけ…」


既に力の抜けた私の手を掴み、後ろへと回す。
少し横にずれた焦凍は、そのまま私のお尻と手で自分の熱を挟み込み流れつつある泡を使って起動を始める
熱の擦れる部分から感じたこともない感覚と、甘い脱力感が全身を襲う


「ふ、ぁ、しょおとぉ」
「っく、ナマエ、ナマエ」


突き上げられる度に胸が壁を擦れて刺激される。
彼の片手は私の手を繋いだまま、キツく腰に押し付け彼のモノを追い立てる
もう一方の手は徐々に下がり、臍辺りを愛撫した後、初めて触れられる茂みへと降ろされる。


「っ!しょ、おと…やッだ、あ、ア」
「はぁ、ナマエ」


私の声が届いていないのか、もしくは届いていても聞く気はないのか
そのまま何かを探るように指が侵入してくる。
太腿でキツく止めようにも、先程から感じる脱力感と混乱で力を込められない。
指を這わされるだけでもゾクゾクするのに、容赦なく弄ってくるそれに軽い恐怖すら感じる。


「まって、まって焦凍ッ!あッ」


やがてある一点で止まり、そのままそこを重点的に責めてくる。
その痛みにも近い、身を突き抜けるような刺激に涙が溢れ、身体中の震えが止まらなくなる。


「ぃやぁっ、ダメッ、しょ、とぉっやああ、あッ」
「ナマエ、っは、ナマエ…」
「しょ、おと、あっあ、しょおとぉ」


うわ言のようにお互いの名前だけを紡ぐ
もう何もかもがぐちゃぐちゃで、なにも考えられなくて、ただただ繰り返される起動と受け止めきれないほどの刺激を与えられ、だんだんと意識が朦朧としていく


「ん、ん、あっ、焦凍、なんかっへん」
「っは、ナマエ…俺も、もう」
「や、あ、こわいっ」
「大丈夫だ、そのまま、受け入れろっ」
「ふっ、あ、や、や、んっ……あっ!」
「っ、ぅ!…く、は、」


自分では止められない程の身体の痙攣と今まで以上の脱力感に襲われる
堪らず腰を下ろすと、焦凍が触れていた箇所が無性に熱く奥から鼓動が波打ち、隠してしまいたくなるほどに濡れていた。


「…はぁ、イッたのは初めてか?」


未だ興奮冷めやらないらしい焦凍が、後ろから強く抱きしめながら聞いてくる。
この人は私を気恥ずかしさで殺す気なんだろうか


「うっ、ぜんぶ焦凍のせいなんだからぁ、」
「!」


止まらぬ涙を拭いながら彼を責める
身体を洗うどころか、余計に汚れてしまったような気がする

すると焦凍がまだ立ち上がることが出来ない私を反転させ、真剣な面持ちでこう言った



「ナマエ、まだやれるな?」
「!」


彼はこの私の惨状が目に入らないらしい

それでも、先程から感じる下半身の疼きは自分ではどうしようもないものだと理解はしていた。
今の私に出来る精一杯の返事はただひとつ



「ここじゃ、いやあ!」
「!」



轟焦凍のステップ5
汚された身体は綺麗にしてもらいましょう


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