晴れ渡る空、澄んだ空気。
使い込んだマフラーとコート。
重い足。
目の前にはガラス張りの特徴的な建物。
首を左右に振らなくても見える同年代の他校生の人・人・人。

今日は雄英高等学校の一般入試実技試験日だ。

(ああ、ああああ、とうとう当日…消えたい)

今日、この日の為に周りの子達は色々頑張ってきたんだろうな…
あ、あの子でかい、怖い
え、あの人…腕めっちゃ多くない?ずるくない?
もう周りの生徒が超エリートにしか見えなくなる。これもう病気だ。帰りたい。

普段からこれほど弱気じゃないけど、受験生の受験当日ともなればナイーブにもなる。
今の私は小動物よろしく社会の底辺すんませんな精神状態だ。

(…消えたい)

逃げられないことも理解してるから、しぶしぶ自分のつま先を見ながら敷地内に入る、と

「どけデク!!」
「かっちゃん!!」
「俺の前に立つな殺すぞ」

斜め前を歩いていた生徒が物騒な事言い始めた。
とても試験会場とは思えない怒号。こええええええ!

(ええ、絡まれた子可哀想…頑張ろうって言ってるのに…ああいう奴とは関わり合いになりたくないなぁ)

触らぬ神に祟りなし。なんか周りがヘドロヘドロうるさいけど、無視無視。
一刻も早くその場を去りたかったので、さっきより早足で会場へ向かうことにした



「”Plus Ultra”!!それでは皆良い受難を!!」

随分とフリーダムな説明会後、会場を移動する
てか、まぁ、覚悟はできてたけど、想像以上にアクティブな試験だ。どう考えても攻撃的な個性の方が有利な気がする。破壊行動が評価されるってなんかヒーローっぽくない気もするけど…

(最低限の攻撃力のないやつはいらないってことか…)

ちょっとだけ雄英受けたの後悔したかも。もっと救助とかを重視してそうだったのに。
どちらにせよ、ここまで来たからには引き返せない。せめて怪我しないように全力を尽くそう。

気を引き締めて周りの受験生を見渡す

「っ!(げぇ!)」

割と近くに今朝の不良少年がいた。えっ同じ会場なの!?こわっ!!!

「あ?なんだよ?」
「いっ、いいえっ!すみませんっ!!」

私の視線が気に入らなかったのか、不良少年に睨まれてしまった。今すぐ帰りたい。
ああああもうやだ!この人から離れないと!コイツ絶対周り巻き込む攻撃的個性だよ!!私の全神経が言ってる!近づくなって!!

「ハイスタートー!」
「ん?」
「どうしたあ!?実践じゃカウントなんざねえんだよ!!走れ走ぇ!!賽は投げられてんぞ!!?」

「はぁ!?」

状況を理解するには一瞬すぎるスタートだったけど、なんとか周りの受験生と一緒に走り出せた。
時間制限がある以上、モタモタしてる暇はない!
1機でも多く攻略しないと…


「オラァ!!」


少し前の方であの不良が次々とロボットを破壊しまくってた。
ってか、あれ、爆破?え?爆破?


なにそれこわい
その後無事合格出来ました


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