敵と交戦した次の日、学校は臨時休校となった。
アレだけの敵が一度に襲ってきたのだ。当然といえば、当然。
運良く犠牲者は出なかったけど、中々な恐怖体験だった。
それでも実践の中で学んだことは多いと思う。
課題もまた増えたことだし、これからに向けて今日はゆっくり静養するべきよね!


「…と、その前にケータイ、ケータイ」


昨日はバスの中で轟くんと話してる途中でそのまま寝てしまって、学校に着いてもなかなか起きれなくて…
事情聴取もままならずに先に帰してもらったんだよね。
皆も疲れてるはずなのに…私だけ、情けない。
お茶子ちゃんや飯田くんが凄く心配してたな。記憶が結構あやふやだけど。
轟くんはバスから移動する時おぶってくれたらしいし…(この辺は完全に記憶に無い)
もう、申し訳なくて仕方がない。せめてお礼の連絡だけでも取りたいのだ。


「えーっと…轟くん、轟くんの連絡先…は…」


昨日帰る時に「何かあったら連絡しろ」って教えてくれた筈なんだけど…
寝ぼけててちゃんと保存したか不安である。多分大丈夫だと思うんだけど


「あ!あった!よかった…」


連絡先にしっかりとフルネームで登録されていて安堵する。
電話番号とメールアドレスをしっかりと確認した後にメールを起動させる。
電話でもいいけど、向こうが立て込んでると悪いしな…


「えーっと、昨日は、ありがとう。無事に、家に帰れました。色々とご迷惑おかけしました。今度お礼させてね。…うーん、こんなもんでいいかな?」


あんまり長すぎるのもな、轟くんこういうの好きそうじゃないし。簡潔でいいか!

「…そうしーん!さて、のんびり待ちますか」

もしかしたら返信来ないかも。まあ別にいいんだけどね。


未だに疲れが取れないためベッドの上に横になる。
もう眠くはないけど、全快ってワケではない。明日の為にもゆっくり休もう。


〜♪〜♪〜♪

「ん?」

聞き慣れた受信音にケータイを手に取る。

「メール…えっ!轟くん返信早くない!?」

今送ったばっかりだぞ!女子高生か!ってぐらい早い返信だな!
丁度携帯いじってたのかな?男子ってメールとかすぐ返さないイメージだからびっくりしてしまった。


『お疲れ。礼とかいらねえ。よく休んどけよ』

うん。らしい。すっごく轟くんらしいメールだ。
短い文章だけど、冷たくもなく寧ろ優しささえ感じる。
うーん、でもまったくお礼なしっていうのもねえ。


『轟くんもお疲れ様。私の気がすまないので、今度学食ご馳走させて!メニュー考えといてね!』

…ちょっと強引すぎ?いや、でも彼の場合コレぐらいじゃないと拒否し続けそうだしな。
これで断られたら諦めよう。うん。お礼は押し付けるものではない。
………いいや送っちゃえ!


「そうしーん……」

……送ったものは考えない!
携帯を放ってまた横になる。なんかメール返信しただけで疲れた気がする。


ー♪ー♪ー♪

「わっ!えっ!?電話!?」

まさか、と恐る恐る携帯の画面を確認する。
お、おう。やっぱり…


「…もしもし?」
「ミョウジか?」
「うん、こんにちは轟くん」

さっき返信メールを送った轟くんだ。
なんだろう、しつこいって怒られるのかあ!?


「お前も中々に頑固だな」
「いやー、ごめん。迷惑だった…よね?」
「迷惑ではねえ」

不機嫌そうな声を想定していた分、思った以上に機嫌の良さそうな彼の声にほっとした。


「ほんと?じゃ、今度学食行こうよ。好きなもの奢る!」
「お前がいいってんならいいけどよ。…なら、蕎麦だな」
「蕎麦?」
「ああ、冷てえやつ」
「オッケ!いつがいいとかある?」
「別に、いつでも」


こういうのは早いほうがいいかな。でもその時のタイミングもあるよね。


「なら、お互いに都合が合いそうな時にしようか」
「そうだな」


意外と話が進んで嬉しいな。少し強引にでもいってよかったな。


「…体調はどうだ?」
「え?あ、うん。大丈夫だよ!全快ってわけじゃないけど」
「あんま無理すんなよ」
「うん、ありがとう。今日はゆっくりするつもり」
「そうしろ」

メールでもそうだったけど、随分と心配かけたようだ。
こりゃお茶子ちゃん達にも連絡入れといた方がいいかな。


「轟くんもゆっくり休んでね。それじゃ、また、明日」
「ああ。明日」


お互いゆっくりと電話を切る。
轟くんの声って低くて結構安心するな。電話越しは初めて聞いたけど。
お礼の約束も無事出来たことだし、一段落。
ふっと息をついて三度横になる。なんだか少し眠くなってきたかも。
明日までに体調戻るといいな。



幕間
次へ繋げる為に


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