轟がミョウジを落とすって言ってから3日経った。
なんか準備とか何とか言ってたが…オイラ嫌な予感しかしない。


「峰田ちょっと来い」
「(噂をすれば…)それ、オイラに拒否権は」
「ない」

轟って強引すぎるよな。そんなんだからミョウジに避けられるんだぞ!
まあ真実を言ったところでコイツは反省しないだろうし、オイラが冷たい目に会うだけだから黙っとく。


「作戦を考えた」
「3日掛けて作戦かよ!どんな壮大な計画なんだ!!」
「まずは聞け」

轟の作戦はこうだ。
演習中にオイラがミョウジにセクハラする。
轟がそれを救ける。
ミョウジの中で轟の株急上昇。
その流れで告白。
2人は見事ゴールイン…


「オイラ、轟の評価改める。お前小学生以下だ」
「なんでだ。完璧だろう」


コイツ!本気か!?普段の冷静さのかけらもない作戦だぞ!!


「突っ込みどころが多すぎるだろ!まず、なんでオイラが協力すること前提なんだよ!オイラ1個も得することねーじゃん!!」
「なんでお前が得する必要がある」
「お前!ふざけんな!!オイラ巻き込まれ損じゃねーか!!」
「そもそもはお前にも原因が有るだろ」
「はっ!?」

そうなのか!?初耳だぞ!

「峰田が変なこと言って俺のスイッチ押さなけりゃ、俺がナマエにセクハラすることはなかった(多分)」
「こいつセクハラって認めやがった…!!つーか、それだってお前の理性がウエハース並に脆いからだろ!オイラのせいにすんな!」
「失礼な奴だな。俺の理性は瓦せんべい並みに強靭だ」
「そのせんべい多分ふやけてるぞ」

轟ってこんなおかしい奴だったか?なんか様子が変だ。まさか…

「轟、お前寝てねーのか?隈が酷いぞ」
「………」
「(まさかあの作戦徹夜で考えたのか!?いや、きっと考えすぎて徹夜してアホんなってあんな作戦に…轟、お前そこまでミョウジのことを…くっ見直したぜ!)」
「最近、ナマエ不足で寝付けなくてな」
「オイラの感動返せこの変態」
「峰田に言われたくねえ」

もうダメだコイツ。オイラが何とかしないと…


「とりあえず今の作戦は聞かなかった事にしてやるから、後はオイラに任せとけ…」
「なんでだ。完璧な作戦だろう」
「無限ループって怖い。いいから!オイラがお前とミョウジを二人っきりにしてやるから、何話すかちゃんと考えておけよ!」
「…わかった」
「もうオイラもお前らに振り回されたくないからな、今回で決着つけろよ!絶対にこじらせんなよ!」
「なんでお前が指示すんだ」
「うるせえー!脳内ミョウジでいっぱいにしてねーでたまにはそのイケメン活用しやがれ!!!」

終わったら絶対に見返り求めてやるからな!!





放課後、HRも終わって各自帰宅する時間。
普段は麗日と一緒に教室を出て行くミョウジだが、今日はその麗日は委員会の仕事で不在。つまりミョウジ1人…今しかねえ!
轟に合図を送って先に教室から出てってもらう。オイラの出番はここからだ。


「なぁなぁ、ミョウジ」
「ん?なに峰田」
「ちょっと手伝ってくれねーか?先生に頼まれた資料整理、オイラだけじゃ届かねートコあんだ」
「…アンタそんなの頼まれてたっけ?」
「(ぐ、無駄に鋭いな。コレが女の勘か?)オイラ演習で八百万にちょっかい出して怒られちまって」
「ああ、なるほど」

納得するの早くねえか。あれだな普段のオイラの成果の賜物だな!

「男子の方が背が高くていいんじゃない?」
「どうせなら女子とやりたいだろ!」
「(峰田らしい…)んー、まぁ特に用事もないし。いいよ」

よっし!ここまでは順調だ!!

「んじゃいこーぜ!」
「そんな急かさないでよ…」

ミョウジの気が変わらないうちに連れて行かねーとオイラが氷漬けになる!




「第四資料室…?こんなとこあったんだ」
「オイラもシラナカッタゼー」
「?鍵は空いてるんだ…」

もちろん資料整理なんて頼まれてない。ほとんど利用されてない資料室を調べて鍵も(轟が)壊し済みだ!

「(鍵は後で弁償するっつってたけど、鍵閉めねーで話進めんのか?)とりあえず入ろうぜ!」
「わかったから押さないでよ」


ミョウジの背中を押して中に入れる。もちろんオイラは入らない。念の為、他の生徒や教師が来ないか見張り役だ。(オイラってほんといいヤツ)



「峰田ー?真っ暗だよー。早く電気つけて」
「この部屋電気壊れてるんだってよー。カーテン開けようぜ」
「用務員職務怠慢じゃん…。カーテンって…窓…峰田、窓ど、こっ」
「………」


ミョウジが程よく奥に行った辺りで、部屋の中で待機していた轟がドアを閉める。
閉められたドアから冷気でてるから、無理やりドア凍らしたな。確かにコレならすぐには出れねーな。


「ちょっと峰田、いきなりドア閉めないで…余計暗くなったじゃん」
「あっオイラ用事思い出した!じゃあな!!」
「は?えっ?峰田!?」

中でミョウジの慌てた声が聞こえる。まだ轟には気づいてないようだ。

「ちょっと!峰田押し付ける気!?待って…」
「ナマエ」
「っ!…え、なんで…」

悪いな、ミョウジ
頑張れよ、轟!



轟焦凍のスイッチ6
なんかオイラまで緊張してきた


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