「ハァ、ハァ…」
「これで全部か、弱ぇな」
「二人とも、ハァ、お疲れ様…」
「何だかんだでミョウジにも戦わせちまったな」
「敵飛ばすか瓦礫飛ばすしか、ハァ、してないけどね…」
「充分だろ!」

二人とも個性を活かした攻撃が強くてあっという間に敵を一掃してしまった。
私も少しは加勢したものの、ほとんど必要なかったな…
てか、本当に疲れた。今更だけど個性の限界値とかあるのかな。今までそんなに無理して個性使ってなかったから、どれくらいまで使えるのかも分からない。

「(課題がもう一つ増えたな…)」
「っし!早く皆を助けに行こうぜ!俺らがここにいることからして皆USJ内にいるだろうし!攻撃手段少ねえ奴等が心配だ!」

そうだ、ここには火災ゾーンとか、いるだけでも危ない場所が多い。さらに敵がいるとなると苦戦する人も出てくるだろう。

「待って、私ゲートで一度スキャンしてるから、皆の位置だいたい分かるかもしれない。」
「スキャン?」
「装備かなんかか」
「うん、私を中心とした半径10kmまでスキャンできるの」
「ハァ!?10kmとかマジ凄くね!?」

切島くん、良い反応です

「と言っても、離れれば離れるほどスキャンできる内容が大雑把になるよ。地形とか大きな障害物程度。生体反応も大人数とかじゃないと反応しないし。詳細なデータが欲しい時は1km以内が限度かな。」

それでも私の個性にとっては貴重な機能だ。飛ぶ先の状況が少しでも把握できるのはありがたい。

「スキャンする範囲が広ければ広いほどタイムラグも大きくなるしね。」
「で、ここはスキャンできたのか」
「うん、ゲートにいた時にだけど、生体反応ならリアルタイムで見れるはず…」

腕時計にしては大きめの装備を駆動させて、生体反応を示す赤いポイントを確認する。
ゲートと広間、そして各ゾーンにポイントが集中している。

「やっぱそれぞれのゾーンに飛ばしたみたいだな!」
「敵と味方は区別できねえのか」
「うん、そこまでは…。でも状況から見て少数で固まってるのが皆だと思う。」
「周り囲んでるようにしてるのが敵ってことだな!」

やっぱり他の皆も戦闘になっているようだ。ポイントの動きから見て何箇所かでは私達のように敵を倒した後のようにも見える。

「まだ動き回ってるトコが危ねえとこだな!よしミョウジ、俺たちを飛ばせるか?」
「うん、多分行けると思う」
「俺と爆豪が先走った所為で13号先生が後手に回った。先生があのモヤ吸っちまえば、こんなことになってなかったんだ。男として責任取らなきゃ…」
「私も結局飛び出しちゃったし…」

「行きてぇならお前らだけでいけ。俺はあのワープゲートぶっ殺す!」
「はぁ!!?」
「本気、なの?」

ゲートにいた時も2人の攻撃は効いてないように見えたけど、なにか考えがあるのだろうか。
切島くんが説得しようとしてるけど耳を傾けてはくれなそうだ…
そのまま2人が話し込んでいる時、爆豪くんの後ろに何か違和感を感じた。もしかして敵!?

「ばくごっ」
BOOOM!
「つーか、生徒に充てられたのがこんな三下なら大概大丈夫だろ」

す、すごい反応スピード…流石っす…

「つーかそんな冷静な感じだったけ?おめぇ…」
「確かに…もっとこう『死ねぇ!!』って感じな気が…」
「俺はいつでも冷静だクソ髪やろうに腹出し女!」
「ああ、そっちだ」
「ちょっと!?今日は体操服着てるでしょうが!!」

コスチュームいじりは良くない!断じて良くない!!

「じゃあな、行っちまえ」
「待て待てダチを信じる…!男らしいぜ爆豪!ノッたよオメぇに!」
「それじゃあ、行き先はワープゲートに変更だね!」

ちょうどその時、ゲート付近にあったポイントが1つ、もの凄いスピードで演習場から出て行った。方面からして学校へ向かってる。この速さは…

「飯田くんが学校に助けを求めに行ったんだ!」
「まじか!委員長やるじゃねぇか!!」
「ワープゲート野郎の位置はわかるか?」

この装備では個体別に識別することは出来ない。でも、ポイントの動きから推測はできる。

「ゲートの前のかたまり様から見て、さっき飯田くんとは反対方向に移動したのがワープ野郎だと思う」
「確証は?」
「ある。敵なら飯田くんを追うために追いかけるはず。でもこのポイントは一度動いた後に急激に進路を変えた。多分誰かに邪魔されたんだと思う。その後、広場の方に向かってるから…」
「主犯格っぽい奴と合流したんだな」
「委員長のことを知らせに行ったのか!俺達は広場にいけばいいんだな!ミョウジ!」
「うん!すぐに飛ばすよ!…でも状況がヤバイって判断したらすぐまた移動するから」
「構わねぇ。やれ」

相変わらず冷静な爆豪くんが少し怖いけど、もしかしたらコレが彼の素なのかもしれない。

「二人とも、私に捕まって…絶対に、絶対に放さないでね!」
「ああ」
「わかった!」

念の為、体操服を脱いでおく。直接触れてなかったから飛ばせませんでした、なんて冗談にもならない

「オメェ…なんで脱いだ」
「懸念は全て排除しておきたいの」
「なんかよくわからねえが、気合入ってきたな!」

2人に私の肩を掴んでもらって意識を集中させる。大丈夫、さっきも3人同時に飛べたんだから、今回も行ける!

「飛ぶよ!3、2、1…!」






視界が開け、見えた光景は
トップヒーローの危機だった


「!オールマイト先生っ!!」
「どけっ」

どうしようか、どうすればいいのか考えあぐねてる間に爆豪くんが飛び出した。
向かった先は先生ではなく、ワープゲート野郎


「どっけ邪魔だ!!デク!!」

緑谷くんがいるにも関わらずギリギリの攻撃。それでもワープゲートを捕獲するんだから本当に凄い人だ。
冷静なんだか、攻撃的なんだか…


「てめェらがオールマイト殺しを実行する役とだけ聞いた」

するといきなりオールマイト先生を拘束していた敵だけを器用に凍らせながら轟くんが登場した。
え、どこから来たの


「オールマイト先生!」

轟くんの氷結で敵の手が緩んだところを見計らって、オールマイト先生のところに飛び、先生の手を掴んで間髪入れずに緑谷くん達がいるところまでまた飛んだ。

「これは…ミョウジ少女の個性か…!」
「先生、大丈夫ですか!?」


「くっそ!!!いいとこねー!」

切島くんも主犯と思われるの男に攻撃するが、残念ながら避けられたようだ。


「スカしてんじゃねえぞモヤモブが!!」
「平和の象徴はてめェら如きに殺られねえよ」
「かっちゃん…!皆…!」



ヒーローは遅れてくるものさ
でも決して逃げたりはしないの


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