「今日のヒーロー基礎学だが…俺とオールマイトそしてもう一人の3人体制で見ることになった」
「ハーイ!なにするんですか!?」
ん?なったってことは予定が変わったのかな?
「災害水難なんでもござれ 人命救助訓練だ」
「レスキュー…今回も大変そうだな」
「ねー!」
「バカおめーこれこそヒーローの本分だぜ!?鳴るぜ!!腕が!!」
「水難なら私の独擅場ケロケロ」
やった!やっとやりたい事ができる!
攻撃に向かない個性の私にとっての本分は人命救助だ。ヒーローに成る以上仕事は選んでられないが、レスキューは一番大切なことだと思うの!
「今回コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上準備開始」
ひと通り言い終わると先生はさっさと移動してしまった。コスチューム…私のは活動を限定させるものじゃないけど…
「うわぁああ!ミョウジ!!お前ソレなんだよ!なんで上に体操服着てるんだよぉ!!腹だせよぉ!!」
「っちょ!引っ張らないで!くっつかないで!!」
「み、峰田くん止めなよ…」
「ソコ!列を乱さず速やかに乗り込もう!」
峰田くんェ…。こいつは一度きつく言ったほうがいいな!さっきもお茶子ちゃんのおしりガン見してたし…。
「ミョウジくん!君が最後だ!空いている席に座って出発しよう!」
「飯田くん張り切ってるねぇ、頼りにしてるよ委員長!」
「!任せ給え!!」
その調子で峰田くんの監視も頼むよ!!
「えーっと空いてる席…」
バスの中をひと通り見渡すと、奥の方にいくつか空いている席があった。
隣に誰も座っていない席にいくのもいいけど…
「轟くん、隣いいかな?」
「…ああ」
轟くんの隣が空いていたからそこに座ることにした。
戦闘訓練の反省会の時以来だけど、彼は人とあまり話したがらないのか1人でいるとこを多く見かけた。
やっぱり迷惑だったかな。でもクラスメイトとのコミュニケーションも学生生活を送る上では大切なことだ。
前に色々言っちゃったこともあるし、より良い関係を築くためにもここいらで打ち解け合おうじゃないか!
「……」
「……」
え?
「…………」
「…………」
こいつ…!寝てやがる!いや別にいいんだけどさ!も、もうちょっとだけでも歩み寄る努力とかしないの!?凄まじいマイペースさだな!
「派手で強えっつったらやっぱ轟と爆豪だな」
「ケッ」
前の方からいきなり隣の人の名前が聞こえて少しビックリした。何?個性の話かな?
「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気出なさそ」
「んだとコラ出すわ!!!」
「ホラ」
ビックリした…爆豪くんがいきなり大きい声出すからドキッとしたよ
にしても爆豪くんをイジるなんて蛙吹ちゃんやるなぁ…!
「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだような性格と認識されるってすげぇよ」
「てめぇのボキャブラリーは何だコラ殺すぞ!!」
「ブッ!!」
「アァ!?ミョウジテメェ今笑いやがったな!!?」
「わ、笑ってなんて…ないよ…っ」
「現在進行形で笑ってんじゃねーか!テメェも殺すぞ!!」
「ひぃ!」
怖いって!ほら耳郎ちゃんも迷惑がってんじゃん!声大きいんだよ…さてはイジられ慣れてないな!絶対に苛めっ子だったに違いない!
「…うるせぇよ。前向いてろ爆豪」
「チッ。後で覚えてろよミョウジ」
「(すぐさまに忘れたい無かったことにして帰りたい)…起こしちゃった?ごめんね?」
爆豪くんが騒ぐから轟くんが起きてしまった。ちょっと機嫌悪そう…席…やめとけばよかった…
「別に寝てねえ」
「あ、そうなの」
じゃあ何故目を瞑ってた。
瞑想か?それとも私と関わりたくなくて…いや瞑想だ!これからの演習のために集中力高めてたんだよね!
「…あれからどうだ」
「え?」
「個性」
ああ、もしかして反省会の時の話かな
「毎日特訓してるよ!少しは使えるようになった…と思う」
「そうか」
轟くんが窓に頬杖しながら少し笑った気がする。飯田くんに引き続き珍しいもの見たな。
「轟くんに問題点指摘してもらったから、具体的に訓練できて助かってるよ。ありがとうね」
「別に、大したこと言ってねえだろ」
「そんなことないって。自分の問題点を捕えるのって案外難しいんだよ」
それを最初の訓練で知れたのはラッキーだったと思う。あの時は組み合わせに納得できなかったけど、今となっては大感謝だ!
「なら、次は期待しとくぜ」
「お、お手柔らかに」
「すっげーーーーー!!USJかよ!!?」
バスから降りるとそこはアトラクションさながらの演習場だった。本当にUSJみたい…ゲートって必要だったの?
「水難事故、土砂災害、火事……etc. あらゆる事故や災害を想定し僕がつくった演習場です、その名も……ウソ(U)の災害(S)や事故(J)ルーム!!」
あっ、本当にUSJっていうのね
今回の3人目の先生はスペースヒーロー「13号」。災害救助などでめざましい活躍をしている紳士的なヒーローだ。
私もテレビなどで何度も彼を目にしている。生で見ると本当に宇宙服っぽい!
ってかオールマイト先生いないけど…何かあったのかな?
「えー始める前にお小言を一つ二つ…三つ…四つ…」
「(増える…)」
13号先生の話はお小言なんかでくくっていいようなものじゃなかった。
個性を使うことの危険性・覚悟、自分たちの意思一つで誰かを傷つけたり…殺したり、簡単に出来てしまう。
この力は”救ける”為に使うのだと強い意志を持っていかなければならない。
私の個性も使い様によっては人を簡単に消せてしまう。でもそのプレッシャーに負けてしまっては強くはなれない。強くなりたい。逃げずに、目をそらさずに、誰かを”救ける”為に…
「以上!ご静聴ありがとうございました」
「ステキー!」
「ブラボー!!ブーラボーー!!」
演習が始まる前に既に色々学んだ気がする。それ程に内容の深い話だった。
「13号先生のファンになりそう」
「ナマエちゃんもファンになろー!」
程よく皆のテンションが上った頃、相澤先生が演習を始めようと指示を出そうとした。
その瞬間だった
「(何?下の広場に…黒い…霧?)」
「一かたまりになって動くな!!」
「え?」
「13号!!生徒を守れ!」
黒い霧からなにか人のようなものがゾロゾロ出てきた。なに…あれ…学校の人じゃ…ないよね
「何だアリャ!?また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」
「動くなあれは 敵だ!!!!」
手足が一気に冷えた様な、足首から痺れてくるような、強い不安と脅威
私達にはまだ早すぎる重い空気が頭の中で警報を鳴らす
紙一重悪意は常に側にある
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