雄英高校ヒーロー科

全国トップクラスの実力を持つ生徒たちが集まる専門科だが、午前の授業は至って普通のもの。
トップヒーローを目指す者でも高校生であるには変わりなく、必修科目を中心に座学を学んでいく。
教師がプロヒーローだとしてもあまりにも普通の授業内容で大半の生徒は退屈しているのが現状だ。
比較的後ろの方にある席の私から見える授業風景も、さしも中学時の授業風景とあまり変わらない。
それでもここにいるクラスメイトは数多い受験生の中から選ばれた間違いのないエリートばかり。(だと思う。多分。私みたいにボロボロギリギリセーフだった子もいるかもしれないけど。)
先日の体力テスト(という名の個性把握テスト)を見る限り身体能力も優れている人が多い。同い年なのに、クラスメイトなのにこうも差があるものなのだな、と実感したばかりだ。
こうやって授業を受けているのを見ると至って普通の高校生。真新しい制服と教科書がやっと高校生になったのだと主張してくる。

「(この中から、次世代のトップヒーローが生まれるかもしれないのかぁ)」

当然だが、私もヒーローを目指している生徒の一人だ。ただ、トップに成りたいかと聞かれると自信をなくす。
それでも雄英に入れたのだから全力は尽くしたい。将来のことはまだこれから考えればいいのだ。


「ナマエちゃーん?ナマエちゃーん!?」
「んっ!?あれ、お茶子ちゃん?どうしたの?」
「お昼ですよー!ご飯!食べ行こ!!」

あー、もうそんな時間。座ってばかりだと頭の片隅で色々考えちゃって結果ぼーっとしてしまう。悪いクセだ!

「学食!楽しみー!和食あるかなー?」
「クックヒーロー・ランチッシュの学食とか豪華だよねー。緑谷くん達も誘おうか。」
「もちろんだー!」



美味しすぎる昼休憩の後は、いよいよヒーロー科ならではの専門科目「ヒーロー基礎学」。
単位数も最も多く、最も気合が入る科目だ!
今日はその初日、皆もソワソワしながら担当教師を待つ


「わーたーしーがー!! 普通にドアから来た!!!」

濃い…

「オールマイトだ…!!すげえや 本当に先生やってるんだな…!!!」

濃ゆい…

「銀時代のコスチュームだ………!画風違いすぎて鳥肌が……」

濃すぎる!!!
初めて間近で見たけどマジで画風おかしい!なんか次元という枠を超えた力を感じるッ!ってか濃ッ!!声でかい!!


「早速だが今日はコレ!!戦闘訓練!!!そしてそいつに伴って…こちら!!!入学前に送ってもらった「個性届け」と「要望」に沿ってあつらえた…コスチューム!!!」
「おおお!!!!」


ざわついていた教室内が更に盛り上がる。昨日から薄々感じてはいたけど血の気多すぎだろ!そんなに個性使いたいのか!


「うぅ、コスチュームか…」

確かに私も「個性届け」と「要望」は送った。でも、でも…


「ナマエちゃん!一緒更衣室行こッ!」
「う、うん…」








「…!ナマエちゃんのコスチューム…」
「やめてお茶子ちゃん!言わないでッ!!」

ちゃんと、ちゃんと要望書けばよかったぁああ!!露出高すぎんだよ!
どうやら私のコスチューム作ったサポート会社はセクシー路線が売りらしく、要望装備以外のコスチュームをまんまと露出狂まがいのものにされた。やめて私そっち路線じゃない!!

「でも水着だと思えば大丈夫だよ!」
「見た目ほぼホットパンツにチューブトップだよ?夏にはまだ早いよ?ねぇ?おかしいよねぇ!?気温考えろよ!ここは常夏じゃねぇぞ!!」

もちろんサポート会社にクレームまがいの質問メール送ったさ!このコスチュームの意味を!そしたらなんだかよくわからんがいろんな新機能が搭載してるらしく、勝手に変えられると困るとか。いやこっちはすでに困ってるんだよ!


「トップヒーローたるもの着るものに左右されてはいけませんわ!私達は今からその訓練をしていると思わなければ!」

すぐ後ろから女子生徒の声が聞こえた。えっと、この声は…

「八百万さん!?その格好…」

すげぇ

「羞恥心あってはヒーロー活動もままなりません。個性を活かす然るべきコスチュームであるなら自ら進んで着衣いたしますわ!」
「八百万さんかっこいい!私みみっちかった!頑張る!!」
「その調子ですわミョウジさん!」

それにしたってこのワガママボディである。身長も高くてマジモデル並!あまりお隣に立ちたくないけどそんなこと言ってたらヒーローなんてなれないよね!うん!


「私もパツパツスーツが恥ずかしいけど、一緒にがんばろー!」
「おう!羞恥心がなんぼのもんだ!」
「そうだよ!2人共服あるだけまだましだよ!!」

!?なにもないところからいきなりの声が…これは透明人間の葉隠さん?

「わたしなんて真っ裸に手袋とブーツだけだよ!」

ぱねぇえっす!!!







「始めようか有精卵共!!!戦闘訓練のお時間だ!!!」

おおお、コスチュームに着替えた皆が揃うと中々圧巻だ。なんかヒーローって感じがする!
緑谷くんわかりやすいぐらいにキョドってるなぁ。なんか可愛い。
…ん?


「…。何?峰田くん」
「コスチューム、最高!!!」

こいつ…



「先生!ここは入試の演習場ですがまた市街地演習を行うのでしょうか!?」

一番メカっぽいコスチュームの男子生徒が発言した。あの声って飯田くん?すっげえ!コスチュームめっちゃかっこいいんだけど!!!なんかブレないな!飯田くん!!

「飯田くんのコスチュームかっこいいよね。緑谷くんもそれ、似合ってるよ」
「えっ!あっミョウジさん…うああああ!」
「…なんかごめん」

今のすごい動きだったよ。腕全体で顔隠しよった。そんな見たくない格好か!

「ちっ、つっ違うよ!そのっミョウジさんもっそのっ!ごめんあの!ににににあっ!」
「うん、なんとなくわかった。ありがとう」

凄い顔真っ赤だよ。これから演習なのに大丈夫か!?
緑谷君はまずは女子に慣れないといかんなぁ。お茶子ちゃんと何か計画でもした方がいいかな。



オールマイト先生によると、今回は2対2の屋内戦らしい。
みんな好き勝手聞いてるけど、落ち着け。先生が困っていらっしゃる。今カンペを取り出してるから静かにして欲しい!


「コンビ及び対戦相手はくじだ!」

要約すると、2(ヒーロー)対2(敵)の核(ハリボテ)争奪戦。ヒーロー側は制限時間内に敵を「確保」か核の「回収」。敵側はヒーローの「確保」か核の「保守」。核の場所はヒーロー側には知らされない。
圧倒的にヒーローが不利だけど、実質現場ではもっと不利な状況が当たり前だったりするだろうから、今回は甘めの設定なのかもしれない。


「(コンビ、お茶子ちゃん達とならないかなー。確率は低そうだけど…)」


A…緑谷、麗日
B…轟、障子、ミョウジ
C…八百万、峰田
D…飯田、爆豪
E…青山、芦戸
F…砂糖、口田
G…耳郎、上鳴
H…蛙吹、常闇
I…葉隠、尾白
J…切島、瀬呂


おいおいおいおい、おかしい!何この確率は!!ずるい私もAグループに入りたい!Dは…飯田くんいるけど爆豪くんに爆破されたくないから遠慮するわ…。


「…よ、よろしく」
「…ああ」
「…ああ」


きっ気まずっ!クラス内でも無口系の男子2名とは…せめてJグループ辺りだったなら…いや、それは失礼だ。きっと彼らも緊張して無口になってるだけだきっとそう!フレンドリーにいけばきっと打ち解けられるさ!

「えっと、今のうちに作戦練っとく?個性とか教えあったほうが…」
「…必要ない。」

こいつ…


協力って言葉知ってる?
このハーフ&ハーフはブラックリスト入りだ


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