14 |
「おい、これはどういう事なのかお前に聞いてもいいよな」 そしてまた俺は新羅の元へ向かった。再び携帯を握りしめて。 新羅はそんな俺を見て、「ああ、」と溜息みたいな返事をした。 「まあ、座りなよ」 そんな風に奥のソファへ促そうとする新羅を、俺は睨みつけた。 「次はコーヒーでも淹れてくれるってか。お前は昔から、そうやって言いにくい事があると座らせてコーヒーだよな。でも、これだけは答えてもらう。なんで、全部初期設定になっているんだ。データはどこ行った」 はあ、と新羅はもう一度溜息をついた。重たげに頭を左右に振る。 「俺に聞かれてもどうしようもないのは、君だって分かっているだろう? 僕は君に無料で傷の手当てをして、サイトを教えただけだ。そのサイトで扱っているゲームを作ったプログラマーでも無いんだよ」 「じゃあ、前にお前が言っていたい大学とか研究機関を教えろ」 「そんなことをしても無駄だよ。それに、サイトのトップページには、突然のデータの削除もあるから了承しろと書かれているはずだ」 「だからって、……こんな、急に、」 「静雄、これは私からの忠告だ。君はそのゲームに依存し過ぎていたんだ。もっと外を見ろ。話をする事なんて至極簡単な事だろう? ゲームの事は忘れてしまうんだ」 それからまた、新羅は何度も諭すように俺に言った。 それらはまた、するすると耳に入って通り抜けていった。 次 小説top |