落下



※高校生時代妄想



彼の髪の毛が、風になびくのを臨也は見ていた。緩やかに左右に揺れる金髪はまるで誘うかのようだった。夏の茹だる様な暑さを吹き流すような風は心地よい。そのためか、目の前の彼は普段とはかけ離れた姿で、穏やかに寝息を立てていた。
まるで似合わない。
臨也は、静かに腕をのばして――……途中でその腕を止める。触れることのない指先はあてもなくさまよって、再びズボンのポケットに戻った。

「……君が引力でも持っているから、俺は逃げ続けなきゃいけないんだろうね。それこそ、永遠の果てまで」

だってそうでなければ、と続けようとした言葉を臨也は手と同じように途中で止めた。無言でさらさらとなびく髪を見下ろしながら、動く気配のない彼の前に立っていた。

どうして出会ってしまったんだろう。
なんて答えの出ない問いばかりが臨也の胸を覆って、締め付けた。その痛みはまるで似合わない。自嘲が漏れた。はつこいみたいだ。








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