誓ったのは何時だっけ |
やはり、慣れないことはするものではないようだ。 思ったより煙が目に染みて、臨也は何度も瞬きを繰り返した。不様に噎せることはないものの、久しぶりの苦味は違和感として口の中と肺に残る。 例えば、コンビニでマルボロを買うこと。 ガードレールにもたれかかって煙草を吸うこと。 短く切り揃えていた髪の毛は、伸ばされたままで目にかかり始めている。 まるでどこかの誰かのように。 ふぅ、と吐き出せば、空にすかして見える紫煙は紫色ではなく青色に見えた。それさえも、もう届かない人を暗示させた。 ――君が吸っているのを見て、二度と吸わないと誓ったのにね。 そんな呟きは、煙とともに消えていった。 小説top |