すべての愛はゆるされるのか



※事後
※杉井/光「すべ/ての愛が/ゆるさ/れる島」の一説からの妄想



シズちゃんが俺みたいな人間とこうやってセックスしているのは俺をつなぎとめておきたいからなのだ。

そう言ったら確実にシズちゃんは怒るだろう。その怒った時のセリフまで想像できる。
“お前が俺に強いているのは強姦で俺の同意など何一つとして求めてはいない”と。
そしてたぶん鳩尾にキツイものを一発入れられてしばらくは何の連絡もよこさないだろう。出会ったところで、速攻に自動販売機を投げつけてくるに違いない。どこの女子高生だと思わなくもないが、そんな事を言えばまためんどうくさくなるので言わない。
これは俺の中では一つの結論としてもうすでに刻まれている。愛情があるからセックスをするのではなくてセックスするから愛情があるのだという、妄想。そうでなければ、こうして非生産的な行為を月に一度は、ひどい時には毎週のように必ず繰り返している事についての丁度良い言い訳が見つからなくなってしまうからだ。お互いに。シズちゃんの方はたぶん意識して考えたりはしていないのだろうけど。本当にそういうところって動物的でいいよね。楽で。何も考えなくても直感って事にしてしまえばいいんだから。
いやでももしかしたら、シズちゃんだけではないのかもしれない。きっと俺の方もシズちゃんとこうしてセックスをすることで、愛情なんていう曖昧でつかみどころのないものを一生懸命つかもうとしているに違いないのだ。
そんな事を考えながら隣を見れば、疲れたのか何かに怯えるようにその長身を小さく丸めて眠っている化け物がいた。化け物はけれども名前の通りに静かに、静かに息を殺して、死んだようにただ眠っていた。
その脱色し過ぎた髪の毛に手を伸ばせば、案外あっさりと絡みついて拍子抜けする。くるくると指を動かせば、微かな抵抗もむなしくシーツの上に金色の髪が散らばった。

――ああ、そうか。自分が手を伸ばさなかっただけなのか。

なんて気がついたところでもう何もかもが遅いことなど最初からわかっていた。











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