小説 | ナノ

行ったり来たり

――俺は、別に今の時刻を確かめているだけで、

あいつのメールなんて待ってないのだと、誰に言うのでもなく言い訳をする。
自分の心に嘘を付きながら、けれども携帯を何度も確認する行為をやめられない。
ああ、きっとこのモニターの向こうにいるあいつは、そんな俺をみて笑っているのだろう。そう分かっていても止められないのだから、俺は本当にどうしようもない。

携帯メールの向こう側で、俺はあいつの言葉を待っている。

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