ジャムが足りない



トン、トン、トン、トン、トン、トン……

臨也の細い指が、規則正しいリズムでデスクを叩いていた。その顔は連日の作業に疲れているのか、不機嫌そうに眉が寄っている。

「その音、うっとうしいのだけれど」

浪江は、臨也のデスクにコーヒーの入ったマグを置きながら言った。
モニターとのにらめっこをすでに4時間ほどしていた臨也は、浪江に指摘されるまで自分がそうしていたことに気がつかなかったのか、少し驚いた顔で自分の左手を見る。無意識にイライラを現していたらしい。その原因に思い当たった臨也は、微かに苦笑しながら浪江に話しかけた。

「ごめん浪江、ちょっと用事を思い出した」

言い終わるやいなや、コートを持ってドアへ向かう臨也。浪江が大きくため息をついたのが分かったけれども、臨也は足を止めることはなかった。

――シズちゃんに会いたい。
そう思う自分はきっとどうかしているのだろう。けれども彼に会えないと、こんなにイライラしてしまうのだから仕方がない。

軽快なステップで階段を下りていく。エレベーターなどを待っている余裕さえ今の臨也には無かった。


ああ、早く会いたい!







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お題お借りしました。
joy









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