雨が降っていた。 ザアザアと降り続ける雨音を、静雄は万年床の中で夢現に聞いていた。温いまどろみの中で聞く静かなその音は、ひどく静雄を安心させるものがあった。
――昨日は、徹夜だったから、今日の仕事は休みのはずだよな……。
霞がかった脳内でそんな事を思いながら、再び浅い眠りにつこうとする。半分だけ開かれていた瞳がゆっくりと閉じられた。長いまつ毛の先が、小さく震えた。 外の世界が何時だろうと、今の静雄には関係ない。ただ体に触れる暖かい布団と、薄暗い部屋だけが、静雄の世界なのだった。
そこは、彼だけに許された空間。
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お題お借りしました。 joy様
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