ひとり遊び



「好きだ」

薄い布団の上に、寝起きのスウェットを着たままの静雄は天井に向かってつぶやいた。

「大好きだ」
「愛している」
「世界でいちばん大切だ」

いくつもの愛の言葉をだれに言うでもなく囁き続ける。けれども、まだ、何か足りないかのように静雄は一人呟く。

「君がいないと生きていけない」
「世界中を的に回しても、お前を守る」
「あなたに出会えて、俺は幸せだ」

吐き出される戯言は、静雄に永遠にかけられることがない言葉。それを飢えているかのようにだた吐き出し続ける。何かの予行練習のように。自分に刻みつけるかのように。甘く、優しく、恋人にかけるべき言葉が、静雄だけしかいない部屋の中に響いた。

それはひどく滑稽で、そしてあまりにも悲しい。









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