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静雄が眠り続けて17日になる。

臨也はそんな静雄の頬をそっと撫でた。起きていた頃の(この言葉は臨也にはとても不自然に感じられる)静雄とまったく変わらない様子で、ただ、ベッドの上に金色の髪を散らして眠っているだけだった。
白磁の頬には薄く赤みが差していて、穏やかな息を繰り返している。呼吸で微かにシーツが動いていなかったら、精巧な人形が置いてあるようにしか見えないだろう。

こんな風に静雄の顔を見ることなど以前にはなかった事だが、もはやそれは一つの習慣のように、あるいは日常のように臨也に染みついていてしまっていた。嫌な染みだ。まるでコップの水に落としたインクのように、染み渡り、拡散し、体を乗っ取って、急速にこの時間が臨也の生活に入り込んでいる。

「シズちゃん、……」

こんな風に苦しい声色で名前を呼んだのも、もう何度目だろうか。胸から絞り出した言葉はまるで駄々をこねる子供のようだ。馬鹿馬鹿しい。確かにそう思っているのに、どうしてか、その名を呼ぶことを止められなかった。
また、そっと頬を撫でる。すべらかな感触と、柔らかな弾力を感じて、けれど自分が欲しいものはこんなものじゃあないのだと、また思い返した。





 








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