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拍手礼文(現在二種)


※臨静

シズちゃんが珍しく、物欲しげな顔でこちらをそっと窺っている。
そんな彼を見て、まだまだ初心だねと俺は優しく微笑んだ。

「ねぇ、シズちゃん……欲しいの?」

尋ねれば、俯いた瞳が一瞬だけ俺をなぞって、そうしてまた、伏せられる。照れてるのかな、ああなんて可愛い。おねだりはまだ、なれていないようだから。
けれどシズちゃんは俺の教えたとおりに、その唇から白い歯を小さくのぞかせると「ほしい……」と一言だけ囁いた。ああその最後の吐息までどこかに閉じ込めてしまいたい。ふふ、俺は笑みを浮かべて、両手を差し出した。

「ごめんよ、シズちゃん、本当はこんな回りくどいことをしなくても、全部君にあげる準備は出来ていたよシズちゃんさあ俺の体も心もすべて君のものだそれは最初から決まっていた運命なんd――」

「まだかのみむし! 言われたとおりにやったら、そのケーキくれるって約束だろ! クイニーアマン!」

先ほどまでの雰囲気は何処へ行ったのやら、駄々をこねるような口調で彼はわめいた。

「せっかくのムードが台無しじゃないか……」俺は彼に小さく不満をこぼすのだけれど、早くもシズちゃんの手は俺の後ろにある白い箱に伸びている。

「ムードってなんだ、ムースみたいなものか」

冗談が真面目か分からない口調でひょいと箱をつまみあげ、中から買ってきたお菓子を取り出し始めるのだから始末に負えない。溜息を吐けばすでに、クイニーアマンを一かじりした彼が咥えたままでこちらを向いた。キャラメルの甘い香りが辺りに漂う。

「手前も食う?」

そう言って食べかけを差し出されてしまえば、なんだかもう、惚れたら負けだと気が付いてしまった。





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