02


少しだけ太陽の光が射し込んで足場が照らされる屋上への階段。いつもは下を向いて歩くのに今日は屋上の扉を見ながら階段を登った。いつもより早く着いた気がした。


ギギギと古い音を立てて開くその扉に少しだけ苛立ちを覚える。こいつのせいで先客には誰か来たというのが丸わかりなんだ。そこに誰がいるのかなんとなく予想がついていた俺はチッと舌打ちをする。案の定ひとつだけあった人影がその音を耳にして、俺の方を振り返った。


クラスメイトだ。


さっきのホームルームで話題の渦中にいた人物は、俺の存在に気付いても特に表情を変えることはないが、軽く会釈をした。その反応にはあまり慣れて、ない。


「なにしてんの、みょうじさん?」
「あ、ごめんね」


はじめての会話は少し調子が狂うものだった。彼女は本当に申し訳なさそうに頭を下げた。なぜか謝られる俺。


「ハハハ、なんで謝んの?」
「え、だって授業中だから探しに来たんじゃないの?」
「違う違う、俺がここにいるのはみょうじさんと同類ってこと」
「さぼり?」
「んーん息抜き」
「あはっ、」


大きな瞳が三日月ぐらい細くなる。顔をくしゃっと崩して笑う目の前の子に、心臓を撃ち抜かれたような衝撃。一瞬で目が離せなくなった。


「確かに、息抜きだね。違いないや!あはは水戸君て変わってる」
「そうかな。てゆうか名前、よく知ってんね」
「桜木君と水戸君は、有名だから」
「君もなかなかだけど」


仕返しするように俺がそう言うと、さっきのような全開な笑顔と変わり、やさしく、諭すように、それはもう美しさという形容詞の作品のような微笑みを俺に向けた。


「そんなつもり、まったくないんだけど」


あまりにその表情が綺麗で次に発する言葉を見失いそうになる。


「俺たち、だって」


やっとの思いでそう告げると、彼女はまた口角を上げて笑った。

























The remnants of a supernova






彼女の産声を聞いた記念すべき日。




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