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窓際に見えるいつもの赤髪は、日々変わることなく今日も頭を垂れている。かくいう俺も、昼飯を食べたあとの5限目はさすがにちとネムイ。「くぁ、」と欠伸をひとつ零すと、目尻に涙が少し溜まった。その滴を垂らすまいと細目になった俺に飛び込んできたのは、よく見慣れた担任の姿。あれ、授業なんだっけか?と思う間もなく、教壇に立ったそいつは口を開いて高くも低くもない声を発した。


「今日のLHRなぁ、月末に控えている野外宿泊のこと諸々決めるから」


はて、野外宿泊。そんなもんあったっけか。その疑問にふと眉間に皺が寄ると、担任の顔が少し怯んだように見えた。


「あ、えーとな。とりあえず班決めるから。男3人女3人で一班だから。とりあえず3人好きな者同士で組んで、そのあとでクジかなんかで男女くっつけるから」


その言葉を皮切りに一斉にクラス全員が席を立つ。仲良い子のとこに駆け寄っていったり、大きな声で「おまえと俺一緒の班な!」なんて言ったり。完全に出遅れた俺はというと、この騒ぎの中でも一向に目を覚ます気配のないあいつとやっぱり組むんだろう。だけどひとり、足んねえな。


「おーい、せんせー」
「どうした水戸」
「俺らんとこ2人しかいないんだけど、どうしたらいーの?」
「あぁ、」


うちのクラスは男子がひとり少なくて、女子がひとり多いからそれでなんとかなるだろうとそいつは言う。ていうことは女子4人のグループが出来れば、自ずとそこと俺らが合体するってわけか。


「え、でも先生。見て?女子余ってないよ」
「えぇ?」


会話の一部始終を聞いていたクラスメイトは不思議そうにお互いを見やる。確かになんかいい感じにみんなまとまって班構成が出来ているようで、そこにあぶれている奴はいなさそうで。自意識過剰とかじゃねーけど、俺らこんなナリだけどクラスメイトにはあんま嫌われてねーから、嘘をつかれてる訳でもなさそうだ。


「あー…みょうじか、」


ただ生徒の名前を言うだけなのに、一瞬疲れた顔をした教師。クラスメイトの名前を全員言えるか微妙な俺だけど、その子の名前は聞き覚えがあった。このクラスになってすぐの頃、初めて自己紹介をしたときのことを覚えていたからだ。湘北には珍しいタイプの子で、金髪がかった茶色い髪と耳に光る3連のピアスがやけに印象的だった。担任の顔が浮かないのもなんとなく理由は分かる。彼女は俺らよりも出席率が悪く、悪い噂も絶えなかった。


「みょうじさん、今朝は居たと思うけど」


確かに花道の前の席に座っていた彼女を俺も見たような気がする。だけど今その席には誰も座っていない。花道の腕が存分に伸びてその子の机まで届きそうなほどだ。


「水戸、そのいいかな?」
「は?なにがだよ」
「だから、みょうじと一緒の班で」
「それは俺に聞くことじゃなくてみょうじさんに聞くのが礼儀なんじゃねーの?」


俺は当たり前のことを言っただけだと思う。男子の中に女子がひとり入るのはどう考えても可哀想だ。それを厄介払いするかのように言い放ったあいつの言い方が少し気に食わなかったってのは事実で、多少苛立ったんだ。だからその言葉を言いながら俺が教室を出て行ったことでクラスの雰囲気を壊してしまったのは本当に申し訳ないと思っている。


そんな中でも花道は気持ちよく寝ているんだろうな。めでたい奴だ。















The remnants of a supernova















俺はその足で屋上へと向かった。

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