19.シンアヤ


学校の帰り道、一人で薄汚れたベンチに座っていた。目の前にはいくつかの花があった。俺はずっとその花を見続けている。頭の中で色々なことを考え、同じ花をもう何分も見続けているのだろうか。目の前に咲いているこの花は、なぜこんなにもボロボロなのだろうか。誰かがわざと踏みつけたのだろうか。それとも無意識に踏まれてしまっていたのだろうか。そんな事を考えながら、ただボーッとしていた。右の方から自転車がやってくる。





―あ、踏まれた。





左からも人が来た。





―あ、また踏まれた。





しかし踏んだ人達は花を踏んだことに気付かず、すぐにどこかへ行ってしまった。その花の姿がアイツと重なって見えて胸が鷲掴みされたかのように苦しくなった。





花はこんなに踏まれ続けているのに、世界は変わらず時間は進んでいく。踏まれているこの花に気付いた人は何人いるだろう。たとえ誰かが悩んだとしても気付いて助けてくれる人はいるのだろうか。どんなにどんなに傷ついても、時は何事もなかったように進んでしまうのだ。だとしたら、何で俺はこんなに悩んでいたのだろう。自分の悩みなんて世界からみたらどうでもいいのに。なぜ俺は花ごときでこんなに考えているのだろう。





―そしてまた花が踏まれていった。





―道端に咲いていた花が踏まれても世界は変わることなく進む―




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