愛してしまったから





泣き疲れて眠ってしまったキドを抱き抱えてベッドへと運んだ。





目から流れた涙のせいで顔についている髪を離した。





「…ゴメンね」





自分という存在で彼女はこんなにも悩んでくれた。





こんな自分でも彼女は好き、と言ってくれた。





「僕たち出会わなければ良かったのかな」





そしたらキドはお父さんの言いなりに…いや、彼女は自分が嫌だったから僕が好きだから、という理由を作ったと言っていた。





でも…





「僕と君とじゃ釣り合わないね」




また、ため息をついた。
これで何度目だろうか。





何が正しい選択なのか分からない。





「ゴメンね…つぼみ…」





――愛してしまったから――











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