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息が途切れそうになる
僕は今、二学期の始業式のため制服を着て学校へと向かっていた。
あっという間に夏休みは終わったように感じた。。
あの夏休み中のバイトはホント色々あった。
普通に僕の目の前で着替えたり…いや、まぁ僕が男じゃなくて女だと思ってるから仕方のないことなんだけれど、やはり年頃の高校生男子には色々刺激的すぎる。
しかもそれが思いを寄せている女の子となればなおさらだ。
「はあ…」
溜め息をついてしまうのは色々不安があるから。
確かにキドと一緒にいることは幸せだ。
でも自分が女ではなく男と正体がバレて、この関係が崩れてしまうのが怖い。
でもずっと女だと思われて友達のままで終わってしまうのはもっと嫌だ。
体育館に入り、クラスごとに出席番号で並ぶ。
こんな真夏日でただでさえ暑いというのに人口密度の高さのせいで更に暑い。
隣のクラスをふと…みると、そこにはキドの姿があった。
「(…え!?)」
いるとは思っていなかったキドの姿に動揺を隠せず口元を抑える。
スカートからすらりと伸びる脚に見惚れ思わずごくりと喉を鳴らす。
「(落ち着け…落ち着け…)」
状況を冷静に考える。
キドとは同じ年齢、
家が同じ市内、だからこの高校を選んでたとしても何の不思議もない。
うん、別にキドが同じ高校でマズイことなんて、いや…ある。
表情だけではなく姿とまで欺くとなると能力を使った後の負担が強いため、あんまり今の自分と姿は変えていない。
だから僕と似ている。
勘のするどいキドのことだ。
僕を見てすぐにバレてしまうのではないだろうか。
実際キドは僕を見てアイツと似てるって言ってたし。
もし少しでもボロを出してしまったり、嘘をつけないセトがバラしてしまったら……
校長の話を全く聞かず始業式中はずっとキドのことを考えていた。
始業式が終わり教室へと戻ろうとセトを探しているとセトはマリーとキドと話していた。
「…どうしよう」
バレそうになったときセトとマリーは助けてくれるか…答えはNOだ。
助けるどころか更に危ない状況になりそうだし。
セトを置いて教室へと向かおうとするとセトが僕に気が付いて近付いてくる。
「カノもこっちに来るっす!!」
セトに比べて非力な僕は呆気なくキドとマリーの元へと連れていかれた。
セトはそれからずっとキドとマリーと話している。
僕はセトの後ろに隠れていた、あまりキドと目を合わせないように話しかけられないように。
「あれ、カノさんじゃないですか!!」
運が悪いことにキサラギちゃんが僕を見つけ声を出す。
慌ててキドを見れば話に夢中になってるらしく気づかれていなかった。
そんな僕を不思議そうに見るキサラギちゃんにしーっ!!と唇の前に人差し指を立てるとやっとキサラギちゃんがこの状況を理解したらしく、こくこくと頷いた。
何とかバレずに教室の前でキドとマリーと別れたとき、キドにじっと見られた気がする。