息が途切れそうになる





始業式のおかげで早く学校が終わりダッシュでキドの屋敷へと行く。





いつも通り、キドの部屋で話しているとキドが何かを思い出したように声を出した。





「今日…アイツと会った」





キドが頬をピンク色に染めながら話す。





「そうなんだ。かっこよかった?」





僕がキドの言う『アイツ』ということを知らないキドに訊く。





うん、僕って性格悪いかも…でも少し、いやかなり気になったから訊いてみた。





「か、かっこよかった…」





頬を赤らめている姿は正しく恋する乙女そのものだった。





その姿を見てると抱き締めたい衝動にかられたがぐっと抑えて、もっと、キドの恋愛話を訊いてからかったりしたあと時計を見ればそろそろ定時だった。





「あ、じゃあもうそろそろ帰るね!!」





この時、僕は気づかなければならなかった。





テーブルに携帯を置きっぱなしにしたまま僕は着替えるためメイド室へと向かった。




















「ふー、暑い…」





能力を解けば一気に体の負担がふわりと軽くなる。





全身鏡に映っているのは男である僕がメイド服を着ている姿。





「…気持ち悪っ」





自分の姿に若干引きながらメイド服に手をかけて脱いでいく。





上半身裸のままズボンを履き、ワイシャツを着ようとしたところで後ろから何かボトッと重いものを落としたような音が聞こえた。





後ろを振り返ればキドの姿があった。





――息が途切れそうになる、この感覚はなに――








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