眠るきみに秘密の愛を





「遅いぞ」





部屋に行けば女子四人組が可愛らしいパジャマ姿でお菓子を囲んで座っていた。





「カノ、今日は“じょしかい”ってものをやるんだってー」





「お泊まり会に女子会は欠かせません!!」





「女子会かぁ…やってみたかったんだよね!!」





マリーとキサラギちゃんと貴音さんは楽しそうだなぁと思いながら横目でキドを見ると意外にもワクワクしているようだ。





うん、可愛い。





キドの意外な一面を見れて緩みそうな口元を必死に欺く。





こうして始まった女子会はほとんど貴音さんは遥さんへの文句やキサラギちゃんはお兄さんのシンタローくんへの文句ばかりだった。




「で、遥ったら普通に上半身裸で近付いてきたり、着替え中に部屋入ってくるし…そのときは私だけで他のメイドはいなかったけどさ〜」





「お兄ちゃんなんてアヤノさんを家に連れてきた時にドヤ顔してきたり、まだ付き合ってもないくせに…」










僕とキドとマリーはそれを聞きながらお菓子をつまむ。





「そうだ!!キドは好きな人いないの!?」





前から訊いてみたかったことを思いきって訊けばイチゴジュースを飲んでいたキドがぶっ、と吹き出しかけた。





「大丈夫、キド?」





背中をさすってやればキドはようやく落ち着いたようで僕に向き直った。





「いる、けど…」





キドは視線を斜め下に向け顔を真っ赤にしながら小さく呟いた。





「けど…?」





「秘密だ」





ですよねー、
うん、そう簡単に教えてくれるわけがないか。





こうして女子会は夜12時を過ぎたぐらいでマリーがうとうとしてきたので寝ることにした。





さて、キドの寝顔を見たら僕の理性が耐えきれそうではないのでそっと部屋から出ようとしたらキドに腕を掴まれた。





「どこ行くんだ、寝るぞ」





「いやー、ちょっと…」





僕の言い訳も虚しくキドに引っ張られていった。





「さ、寝るぞ」





「え、ちょ…」





ベッド一つでキドと寝るの?





いやいや、色々ヤバイでしょ。





ほら僕は年頃男の子でキドは年頃女の子だし。





あっれー、でもキドは僕のこと男って知らないんだよね。





じゃあ、仕方ないか。





うん、何か間違いが起きてもこれは不可抗力と言えるんじゃ…





「なにボーッと突っ立ってんだよ」





キドに腕を引かれベッドに倒れこむ。





「うわっ」





「なんか、カノ…いい匂いするな」





キドが僕の体をぎゅうっと抱きしめてきて一瞬で僕の頭が真っ白になる。





キドの髪から上品なリンスの匂い、そして柔らかく温かい体…。





なにこの状況。





キドは寝付きがいいのか既にぐっすり寝ている。





僕はというと目の前で眠るキドの顔をまじまじと見つめる。





少しでも近づいたら唇が今にも触れてしまいそうな距離。





「うー、どうしよう…」





後ろでは違うベッドで寝ているマリーとキサラギちゃんと貴音さんの寝息が聞こえてくる。





今ならキスしてもバレないかもしれない。





いやいや、なにキスしようとしてるんだ僕は。





「んー…」





キドが更にぎゅうっと力を込めてくる。





「はあ…」





僕はしばし迷ったあと、キドの頬にキスをした。





「おやすみ、キド」





――眠るきみに秘密の愛を――











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