眠るきみに秘密の愛を





「どうしたんすか、カノ」





セトが心配そうに僕を見つめている、よっぽど浮かない顔をしていたのだろう。





「僕、女の子の部屋で寝なきゃいけないんだよね」





「だって、そうしないとバレるじゃないっすか。バレたらキドのことだから怒るっすよ」





男とバレたら怒るだろうし、女子の部屋じゃなくて男子の部屋で寝るなんて色々疑われるだろう。





「そ、そうだよね…騙してたってことだもんなー」





「まあ、頑張れっす!!」





親指を立てて、キラッと効果音でもつきそうに笑う。





「セトは楽しそうだね」





「もちろん!!マリーとお泊まりっすから!!」





「いいねー、気楽で」





嫌味ったらしく言われてもニカッと爽やかな笑みを浮かべているセトに呆れながらキドの屋敷へと向かった。




















仕事はいつもより何倍もハードだった。





さすがになかなかキドとゆっくり紅茶を飲みながら話すことは出来なかった。





気づけば既に晩ご飯の時間になっていた。





晩ご飯を食べて、お風呂に入ろーという話になってから僕は重大なことに気づいた。





さすがにお風呂を一緒に入るなんて自分の理性が保てるはずがない。





「どうした、カノ」





キドが心配そうに僕の肩を触る。




「ぼ、僕はあとで入るよ」





「恥ずかしいのか?」





「え、まあ…そんな感じかな」





「気にしなくて大丈夫ですよ」





「うん、カノも一緒に入ろ」





キサラギちゃんとマリーは僕が男だということを知ってるくせにそんなことを言い始めた。





仕事のときはほとんど能力で女装してるし、もしかしたら僕が男という事実を忘れてるのかもしれないけど。





「ちょっと忘れ物あるから、先に入っててー」





適当に言ってその場から離れる。




それにしても…





「どうしよっかなー」





男湯の方に入るしかないか。





「うーん…」





汗もかいてるし、お風呂に入らないという選択肢は選べない、というか選びたくない。





結局、僕はキドたちと鉢合わせにならないように男湯のほうでしばらく湯に浸かった。











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