無意識じゃいられない





キドは僕のことを覚えているのだろうか。





自分が忘れてたのにキドに忘れられてたらショックだな、とか思うのは少しワガママかもしれない。




幼なじみとは言ってもキドにとっての幼なじみはセトだけなのかもしれないし。





「……………」





キドの部屋を黙々と掃除をしていく、頭の中は相変わらずキドのことばっかり。





「カノって女のくせに割にはけっこう背が高いよな」





そう突然言い出したキドは少し嬉しそうだった。





「うーん、そうかな。でも、キドには敵わないよ?」





情けないことに自分は女のキドに身長が負けている。





今まで気にしたことなかったけど今度牛乳いっぱい飲んでみようかな…。





「まぁ、そうだけど。俺以外にも女でけっこう背が高いやつがいて安心した」





僕、男なんだけどね。
当然そんなことは言えず良かったねと笑いながら掃除道具を片付けキドの話し相手になることにした。




















何日か経って仕事にも慣れて、キドとも仲良くなったある日のことだった。





「カノ君、夏休み空いてる?」





貴音さんの話はこうだった。
夏休みは保護者と学校の了承があれば住み込みでバイトが出来るらしい。





「(つまり一日中キドと一緒に居られる!?)」





そう考えると自然と頬が緩む。





もちろん、夏休み中もバイトすることにした。



















今日もキドの部屋をノックして、いつも通り話を楽しむ。





「あ、そうそう!!夏休み、住み込みでバイトすることにしたんだ!!」





僕が笑いながら言えばキドは目を真ん丸にして驚いていたが少し嬉しそうにしていた。





「楽しみだね、キド!!」





「そうだな、去年は貴音と遥、マリー、セトと俺で寝たな」





「へ、そうなの?ほー、まさかキドったら男と寝ちゃって大胆だね〜!!」





「ち、違う!!同じ部屋で寝たけど同じベッドでは寝てないっ!!」





「ふふ」





焦りながら必死に弁解するキドが可愛くて笑うとキドがむむ、と唸る。





「なんで笑うんだよ…」





「うーん、別に?」





「言っとくけど今年は人数が増えたから男は別の部屋な」





「え」





「なんか文句あるのか?」





「いや、ないけど…」





男の僕が女の子に囲まれて寝るのはいかがなものだろうか。





セトがいれば何とかなる気がするけれど…。





寝てるときまで能力を使えるほど僕は器用ではない。





「(これはずっと起きてるしかないか…)」





正直キドの寝顔を見て自分が平常心を保っていられるかが問題だけれど。





――無意識じゃいられない――











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