『…遥!!遥だよね!!私、貴音だよ!!』





『え、貴音!?良かったぁ…また会えて本当に、良かった…』

































こうだったら良かったのに





もしも、コノハが遥のときのを覚えてたら…





そんな、もしもの話ばかり考えては現実の残酷さにため息をつく。




“僕は取り戻したくない”





“思い出せないのは何か嫌なことがあったのかもしれないし、思い出したら自分が自分じゃなくなってしまうかもしれない…だから、いらない”





コノハは記憶を取り戻したくないのかと訊いた私に無表情で私にとって一番残酷な言葉を突きつけた。





わかってる、現実はゲームやアニメのように何もかも上手くいってハッピーエンドだなんてあり得ない。





コノハは遥じゃない





でも、もしも…記憶を取り戻したらハッピーエンドになるのかな。




貴音と遥に戻れるのかな





戻りたい、あの頃に





こんな体じゃ彼に触れられない





こんな体じゃ彼に何もしてあげられない





こんな体じゃ…好きって伝えられない










もう私と彼がいる世界は違うんだ。





前まで隣にいた彼はもう、いないんだね。






彼にとって、もう貴音はいらないんだ。





新しい仲間がいるから。





私には遥がまだ必要なのに…神様は酷いよ。




なんで私は覚えていてコノハは覚えてないの





それなら私もこんな優しくて酷い思い出なんていらない。





コノハに会わなければ…ううん、遥に出会わなければ…恋しなければ、こんな辛い気持ちをすることもなかった。





私と遥は出会うべきじゃなかった。





それでもやっぱり今も大好きだよ、遥





私のこの思いにあなたが気づくことはないね


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