そんな慌ただしいお昼の話。



*ヒビヒヨコノ




心地いい日差しにふわぁ、と口から欠伸が漏れる。アジトに来ても平和すぎてこれといってやることもない。ただヒヨリが遊びに行きたいと言うからついてきただけだし。うん、このまま昼寝をするのもいいかもしれない。いつもうるさい阿吽のおばさんやおじさんはいない。絶好のお昼寝日和だ。さあ、眠ろう…と目を閉じようとしたときに隣の部屋からキャアア!!とヒヨリの叫び声が聞こえた。





「……また、ゴキブリでも出たのかな」





クラスの男子よりも強い彼女だが虫だけは大の苦手らしい。特にゴキブリはゴキブリという単語を聞いただけで発狂する彼女は見てて可愛いし、飽きない。まぁ、すぐに気持ち悪い、見るな、とか言われて殴られるオチなんだけれど。




「…ヒヨリを助けに行かなきゃ」




いつもゴキブリが出たとき、僕が退治していたし。そのときだけはヒヨリが恥ずかしがりながらもありがとう、と言ってくれるし。一人、ニヤニヤと笑いながらヒヨリの部屋に向かう。





「…ヒヨリー」





ノックもせず、ドアを開ける。きっとうるうると目に涙を浮かべながら僕に抱きついてくると思ったけどそれはなかった。ドアを開けてまず目に飛び込んできたのはコノハにしがみついているヒヨリの姿があった。





「…こ、コノハさん…」





「…ん、大丈夫だよ…ヒヨリ。怖くないよ…ただの虫だから…」





生まれたての小ヤギみたいに足をブルブルと震わせているヒヨリに頭を撫でるコノハ。なにあれ…胸の中にドス黒いモヤモヤが生まれる。





「…あ、ヒビヤ」





コノハが僕に気づいたらしい、ヒヨリもこちらを向くとやはり今にも泣きそうな表情で小動物のようにガタガタと震えていた。このヒヨリを見れるのは僕だけの特権だったのに…。あー、もう面白くない、つまらない、気にくわない。




「…ヒヨリがね、ゴキ…」





「い、いやあぁぁぁ!!!!!言わないで、コノハさん。ソイツの名前だけは…ソイツの名前だけは…!!」





若干、厨ニくさいセリフを耳を塞ぎながら言っているヒヨリとキョトンとしているコノハ。おそらく何故言っちゃダメなのか分からないのだろう、懲りずにコノハがゴキブ…、と言うとヒヨリがまた叫ぶ。





「…そこらへんにしときなよ、コノハ」





さすがにヒヨリが可哀想になってきた。





「なんで…?」





コノハは首を傾げながらまたゴキ…と言いかけるとヒヨリがコノハに軽く睨み付けるとコノハがビクッと体を震わせた。そういえば、コノハは睨まれるといつもの無表情からすぐに怯えた人間らしい表情になる。ヒヨリはそのコノハの表情を見るのが好きらしい。どこまでS気質なんだか…。





「あれ、そういえばゴ…じ、Gはどこなの?」





いつの間にかゴキブリの存在を忘れて話してたわけだがゴキブリが見当たらない気がする。それを訊こうとゴ、まで言ったところでヒヨリに睨み付けられて仕方なくソイツの別名『G』と呼ぶことにした。





「確かに部屋にいたんだけど…」




ヒヨリがキョロキョロと部屋を見回すがソイツの姿はない。まさか、違う部屋に行ったのだろうか。僕もヒヨリと同じように部屋を見回すとコノハの頭にソイツはいた。





「…………………」





「……?ヒビヤ、僕になにかついてるの…?」





いや、ついてるんだけどね!あなたの頭の上でゆっくりと動いてるんだけどね!どうしよう、言うべきなのか…言わないべきなのか。言ったらまずヒヨリは発狂してコノハから離れるかもしれない。そして自分に抱きついてくれたら…思考が最近、変態的になっているのはきっとおじさんの影響だろう。





「…コノハ、頭にGがいるよ」





コノハの頭の上にいるソイツに指差してそう言えば途端に静まり返る部屋。





「…Gってなに…?」





コノハが首を傾げるとヒヨリがひい!と小さく声を漏らした。コノハが天然で鈍感なのは今に始まったことではないけどやっぱり困るな。





「…こ、コノハさん、あの…」





ヒヨリもなんとかコノハに気づいてもらおうと『ゴキブリ』と口パクで必死に伝えるがコノハはただただ首を傾げるだけだった。ゴキブリもコノハの頭の上が気に入ったのか一歩とも動かなくなってしまった。





「…はあ。コノハ、頭の上にゴキブリがいるよ」





この状況に我慢出来ず、そう言えばヒヨリのパンチが飛んできた。痛かったけれどハッキリと言わないと永遠とこの会話を繰り返すことになっていたに違いにない。





「…僕の頭の上は美味しい匂いがするのかな…」





ゴキブリが頭の上にいるというのにコノハは全然気にしていない。むしろ、コノハにしがみついているヒヨリの方が青ざめている。救いを求めるようなヒヨリの顔を見て助けない、という選択肢は選べない。





「…ヒヨリ、今から助けるから」




そう言った瞬間、コノハの頭の上からゴキブリが羽を広げて飛んだ。ゴキブリが飛んだ先はヒヨリの頭の上。





「ぎ、ギャアァァァァァ!!!!!!!!!!!!!」






(Gがあぁぁぁ!?)(食器用洗剤で駆除だ!!)(最早虐殺…)
そんな慌ただしいお昼の話。




















あとがき…


氷華様からのキリリクでヒビ→ヒヨ→コノでギャグ


まず、遅くなってすいません!!
しかも、ギャグになっていないし…ゴキブリは普通、人の頭の上とかに飛びませんね!!


人間好きなゴキブリってことで←

もう色々微妙なものですが持ち帰りどうぞ!!


氷華様のみ返品、書き直し可能ですので気軽にどうぞ!!
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