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最初で最後のキス
君に言えなかったことがあった…そんな後悔ばかりの恋だった。
何でも解ってしまう自分の目にはどれもつまらないものに見えて、自分に話しかけてくる人間を全て否定して、拒絶していた。
寂しかったくせに寂しい、と言えず、独りでいた俺を独りから救ってくれたのはいつも馬鹿みたいに笑っているアイツだった。
「シンタロー、また100点!?」
隣の席に座っている『楯山文乃』が俺の回答用紙を覗きこんできたと思いきや俺の手からバッ!と効果音が付きそうなスピードで俺の回答用紙を奪い取り、真剣な表情でその紙を見つめる。
そんな紙を見ていたって何の面白みもないというのに。
「…悪いかよ」
「ううん、全然悪くないよ!凄いことだよ!?」
何となく居心地が悪くなり、いつものように悪態をつくのは自分の悪い癖だ。でも、アヤノはシンタローらしくていいと思う、なんて言って笑うから自分の全てがアヤノに受け入れられている気がして少し安心というか心の重荷が下がるというか…とにかくアヤノといると変な気分になって自分が自分じゃなくなる気がする。それがとても怖い。
アヤノといると何もかも許されてる気がして自分がどんどん甘い人間になってしまいそうで…怖い。
だから、俺とアヤノはこの距離でいい。
俺はそうして俺とアヤノの間に心の壁を作る。自分が壊れないように。アヤノが壊れないように。それなのに、アヤノは俺が精一杯作った壁をぶち壊し入ってくる。
アヤノが居なくなってしまった今なら分かる。俺はずっと独り世界に取り残された気がして寂しかったこと。君にそばにいて欲しかったこと。
俺はいつも自分のことしか考えてなくて知らない内に君を傷つけていた。
…あの時だって。
「なんでそんなに…俺に構ってくるんだよ…俺に構うなよ…」
アヤノは何も言わず、ただ黙って俺の手を握った。
まるで、離さないよ、私はずっとここにいるよ、と言っているような気がした。
「…っ!やめろよ!」
俺は独りで生きていける、なんて本気で思ってた。だから思いっきり手を振り払った時、アヤノは眉を八の字にして無理やり笑っていた。泣きそうな顔をしながら笑っていた。
ごめん、と言って君に謝りたかった。
俺がごめん、と謝る前に君は突然…何の前触れも無く、俺の前から姿を消した。そして、また俺の前に姿を現すアヤノの瞳は血の色を思い出されるような真っ赤だった。
「死んじゃった。ごめんね」
「さよなら、しようか。」
行かないで、とは言えなかった。言ったとしても君はきっと行ってしまうのだろう。離れたくないのに…ずっと一緒にいたいのに。その願いは叶わない。
もし…あの時、伝えていたら、なんて考えたりしてしまうけど…そんなことを考えるなら俺は今、君に伝えたい。
「今まで…ありがとな」
君にお礼をずっと言いたかったから。
「俺はお前のことが好きだったよ」
君が好きだということをやっと言えた。
「…ありがとう。私もシンタローのこと、好きだったよ」
アヤノは俺の告白を受けて目を大きく見開いた後、優しく笑ってそう言った。
「…アヤノ」
「…ん」
アヤノの唇に自分の唇を重ねた。
ーー初めてのキスは…涙の味がしたーー
あとがき…
蒼華様からのリクエストで切甘なシンアヤです。
甘さが少し足りなくなってしまいました…すみません(><)
文もめちゃくちゃですいません…泣
蒼華様のみ、お持ち帰り可能です!
また、蒼華様のみ返品、書き直し可能ですので気軽にどうぞ!