またハグしたくなるじゃん




カノと二人っきりになると素の自分になってしまう。いつもはへらへら、と笑っていつも誰かをからかっているカノも俺と二人っきりになると甘えてきたりする。そんな二人っきりの時間が俺は好きだけど少し心臓にも悪い。今だってカノが後ろからぎゅーって強く抱き締めて顔を俺の髪に埋めたりするからそのたびに俺の心臓がどきり、と跳ねる。





「キド、いい匂いする…。あ、リンス変えた?」





「変えた。お前、人の匂いを嗅ぐ癖は変えろ」





俺がリンスを変えるといつもカノが気づく。それが嬉しくて、自分が女の子らしい気がして俺は色々リンスを変える。カノに気づいてほしくて。カノに女の子って意識させたくて。





「やだなぁ。僕はキドの匂いしか嗅がないよ?」





「なんかその台詞、変態っぽいな。つーか、変態だな。現に俺を抱き締めてくる時点で」





俺とカノは決して恋人ではない。いつからかぎゅーし合う関係になっただけ。





「え?変態じゃないよ。キドが望むなら僕は変態になるけど?」





「馬鹿。」





カノが腕の力を弱めた隙を狙って俺は自分の体をカノの方に向けて自分からカノに勢いよく抱きつくとカノはおっと、と言って体勢を立て直す。そんな仕草にも少しきゅんとしたりする。意外と体は固くて肩幅も俺より少し広くて、ああちゃんと男の子なんだな、とか思ったりする。





「キドったら大胆ー!」





カノがくすくす、と笑って俺の背中に腕を回す。背中をぽんぽん、と撫でられると胸があったかくなる。





「うっさい。」





口では軽口を言いながらも雰囲気はとても甘いもので少し照れくさい。





「もっとぎゅーってしていい?」





「うん。もっとたくさんぎゅーってしてくれ」





カノのぎゅー、の言い方が可愛くて俺も真似するとカノが笑う。





「あったかいね。」





「ああ」





カノが幸せそうに俺の肩に頭を擦りつけてくる。その様子が猫そっくりで可愛い。髪の毛を撫でてやると気持ち良さそうなカノはやっぱり猫みたいだ。





「好き、だな」





「ん?」





無意識に口から出ていたようでカノに聞かれてしまった。カノが好きとかそんなことは言えないからこういう時間が好き、とだけ答えた。嘘は言っていない。





「僕も好きだなぁ。一番心が休まる感じ?」





「そうか」





カノの言葉はまるで俺がカノにとって一番の存在と言われているような気がして凄く嬉しかった。





「キド、ぎゅー以上のことしてみる?」





「……は?」





カノの突然の言葉に頭が一瞬で空っぽになった。カノは欺いてるつもりらしいが顔が真っ赤で全然欺けていない。そんなに真っ赤になるならなんでいきなりそんなこと言うんだ、という呆れの気持ちとカノはもしかして俺に幼なじみ、家族以上の好意を持たれてるんじゃないか、と期待してしまう気持ちが俺の胸に広がる。





「お前がしたいなら別に…しても、いいが…」





カノの顔が見れなくてカノの胸板に顔を押し付ける。カノの心臓の鼓動が聞こえる。どくんどくん、って速くなっている。それがとても嬉しくて強く抱き締めた。





あとがき…


奈月姫様からのリクエストでカノキドで沢山ぎゅーってしているほのぼのです。


ほのぼのなのに甘い話になってしまいました。しかも恋人設定ではないという本当にすいません。


でも書くの楽しかったです。


奈月姫様のみ、お持ち帰り可能です!


また、奈月姫様のみ返品、書き直し可能ですので気軽にどうぞ!





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