短編 | ナノ




無防備な君を

*微裏です。
苦手な方は読まないことを推奨します。


大丈夫な方は以下からどうぞ




















































「…お前、前髪伸びたな」





自分の膝の上に跨がって先ほどまでキスをしていた彼女が僕の前髪を触る。





人に前髪を触られたことなんてあまりないから少しくすぐったい。




「…そうかな?」





自分で前髪を触れば確かに伸びた気がする。





いつもは長くなる前にすぐに切ってしまうが最近は確かに切っていない気がする。





「…切ってやろうか?」





首を少し傾げながら訊いてくるキドが可愛いなと思いつつ、初めから答えは決まっているのだが切ってもらおうかと考えるフリをする。





「じゃあ、キドに切ってもらおうかな」





ニッコリ笑いながらそう答えてやれば、ぱあぁという効果音でも聞こえてきそうな程、キドの表情が輝いていく。





そんなに僕の前髪を切ってみたかったのだろうか。





キドはハサミとかを洗面所から取り出してきた。





「よし、そこに座れ」





キドがハサミをカチカチと鳴らす。





「き、キド…な、何だか怖いんだけど…」





何か嫌な予感しかしないので逃げようとするとキドに怒られたので大人しく座る。





「ふん。最初から大人しくしてればいいんだよ」





「…はい」





キドが僕の前髪にピンを付ける。




「あ、あのキドさん…?」





「…なんだ?」





「……このピンは何かな〜?」





「…前髪だけ切るんだから他の髪は邪魔だろ?」





…なるほど。





でも何故キドは携帯でカメラを撮ってるのかなぁ?





「…早く切ってよ」





少しふてくされたように言えばキドは少し焦りながらハサミを取った。





「よし、切るぞ」





今日は機嫌がいいのか鼻歌を歌いながらキドがシャキンシャキンといったリズムで前髪を切っていく。





上機嫌なのは僕としても喜ばしいことなのだが意外にもキドとの距離が近く心臓がバクバクいっている。





目の前にはキドの白くて綺麗な首筋とちらりと目に入る胸元に息を飲む。





そいえば今日はキドのお気に入りのパーカーがマリーによって全部洗われちゃったから違う服を着てるんだっけ





うん、やっぱり…夏らしくていいな





にやけているであろう顔を欺きながら、キドの顔を見れば真剣そうに僕の前髪を切っている姿が可愛いなと笑う。





「…ね、キド」





話していなければ、どうしてもキドの白い首筋や胸元に目がいってしまうことを誤魔化そうと口を開く。





「……ん、……なんだ……」





一段落ついたのか、キドが僕の前髪からハサミを離し、じっと僕の顔を見る。





至近距離でお互いの顔を見つめる形になり、目を逸らし僕の体から離れようとするキドの腰を掴む。




「…なっ!!や、やめろ…!!」





暴れるキドを抑え込みながら、その白い首筋に歯をたてると途端に上がる矯声。





「あれれ〜、キドさーん…?」





ニヤニヤしながらキドは顔から耳まで真っ赤にし、僕の顔面にめがけて殴りかかってきたがその細い腕を掴み、思ったより軽い体を床に押し倒せばキドは顔を真っ赤にさせながら困ったように僕と視線を合わそうとしないで「あー」とか「うー」とか唸る。





「…それってさ誘ってるんでしょ?」





「……は?」





「…だーから、それ」





指で指したのは少し捲れて、普段は見えないような所がチラチラ目に入る白い肌。





押し倒した時にたぶん捲れてしまったのかもしれない。





これはこれでいい眺めだとキドをなめまわすように見つめる。





その視線に気付いたキドが「…変態」と小さく呟いた。





「…ね、キド。僕がこんなに変態になるのはキドだけなんだからね?」





キドだからこそ、今の押し倒している状況に興奮するし、もっともっとキドに触れたい。





「……あー、もう勝手にしろ」





最初からそうやって素直にしてればいいのに…まあ、素直じゃないキドが一番可愛いけど。





「…いただきます」





きっと今の僕の顔も真っ赤なんだろうな…火照った顔を隠すように欺き、キドをいただこうとしようかな。



















あとがき…


少し書き方を変えてみました!!


また微裏なのは深夜テンションで書きあげたからです。






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