短編 | ナノ




惚れた弱み





「団長さん!!絶対に似合いますよ!!」





「キド、すごく似合ってるよ!!」




「そ、そうか。な、なら買うか」




目の前にあるいかにも女の子という服を見つめて呟く。





興味がないフリをしつつ、まぁ仕方ないから買うか!といった感じを装いながらも内心、そわそわしながらカノのことを思い浮かべていた。





そんな俺を見てキサラギとマリーが嬉しそうにニヤニヤしながら笑った。














「ただいま」





「あ、おかえり!!キド、寂しかったよ〜」





とりあえず抱きついてきた馬鹿を殴っておく。





「マリーちゃん、部屋で買ってきたものを見せ合いっこしよっか?」





「うん!!」





キサラギとマリーがリビングから出ていくとカノと二人っきりになる。





「なんか買ってきたの?」





カノが訊いてきたが何と答えるべきか迷った。





コイツのことだから絶対に買ってきたものを見たいとか言ってくるだろう。





それだけは絶対に避けたい。





「別に。俺は何も買ってないが」




能力を使えば良かったのにその時の俺は頭が回らず買ったものを後ろに隠すが隠し通せるはずもない。





「えー、見せてってば!!」





カノは俺の腕を掴み袋を開ければ、いきなりぷるぷると体を震わせ笑い始めた。





「ブホォッ!!え、ちょ…キドがこの服着るの…?くぷぷっ、お腹、痛い」





目に涙を浮かべながら必死に笑いを堪えているカノに買った服を投げつけた。





「え、ちょ…キド、いきなり服投げないでよ。謝るからさ…って、キド泣いてるの?」





「泣いてないッ!!」





そうは言いつつも目の奥が熱く涙が出る前の特有の喉の痛さ





少しでも油断すると涙が今にも落っこちてしまいそうなほど俺の視界は既に涙でカノの顔が見辛い。




「…ゴメン」





カノが小さく呟き、俺に近づいてきたと思いきや壊れ物を扱うように優しく抱き締められた。





「……!」





突然のことに目を点にしながらもその温もりは嫌なものではなく心地よいものだった。





だから余計に涙が止まることなく溢れる。





「ゴメンね」





カノはもう一度そう言うと優しく俺の背中をポンポンと赤ん坊をあやすように叩いた。





「ね、許してくれる?」





不安げに訊いてくるカノに黙って頷けば途端にカノの顔が綻ぶ。





いつかセトに言われた「キドはカノに甘いっす」その時は全力で否定したが案外当たってるな。





自分がつくづくカノに弱いと思い知った日だった。













あとがき…


とりあえずくまくまの話を聞いてたらカノキドに当てはめてしまった話






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