短編 | ナノ




もうずっと君に恋をしてる





『…う、ひっく、えっぐ…』


『な、泣くなよ。お、おれがずっと一緒にいてやるから、だから…おれが大きくなった結婚して家族になろう!!』


『…っく、ほ、ほんとぉ…?やくそく、だよ…?』


『約束』


『うん、やくそく!!』


――指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ーます!指切った!――




















「…シンタロー、小さい頃のこと覚えてる?」





放課後二人っきりの教室の中、数学の問題に苦戦していたアヤノがいきなり俺にそんな質問を投げかけてきた。





「なんだ、いきなり…」





勉強に飽きたのかもしれないが今はそんなことを言っている場合ではない、明日の数学の期末テストのためにも、明日のテスト後に数学の問題集を提出しなきゃ成績が3から2になると俺に泣きついてきたくせのはアヤノだ。





「…んー、だってさ私とシンタローってさ別に家も遠くないし…小さい頃によく近くの公園で遊んだよね!!」





アヤノは完全にやる気をなくしたのかシャーペンを俺に向けて楽しそうに話す。楽しそうなのは結構なんだがシャーペンを俺に向けるな、危ない。





「あー、そんなこともあったな」




俺が適当に返事したことがいけなかったのかアヤノは身を乗り出して俺の額にいわゆるデコピンをした。





――地味に痛い…うん、地味に。





「人の話はちゃんと真剣に聞かないといけないんだよ!!」





「そういうお前は授業中、かなりの頻度で爆睡してるよな」





「うっ!!…こ、これとそれとは別!!」





ニヤリと口元を歪ませてそう言ってやればドヤ顔をしていたアヤノの顔が一瞬で慌てたような表情に変わる。いつも無愛想な俺と正反対なアヤノは表情がコロコロと変わる、だからコイツといるのは何故か退屈じゃないのかもしれない。





「でね、さっきの話の続きなんだけどね!!」





アヤノが懐かしそうに話す内容を聞きながら確かにそういうことあったな、と相づちを打つ。





「モモちゃんはホント、シンタローにべったりだったよねー!!そいえばさ!シンタロー、私に告白してきたことあったよね!!」





アヤノの言葉に体が固まった、いや動かすことも出来ないぐらいに俺は人生最大の危機に直面していた。あれは自分の中で無かったことにしたいランキング堂々の1位を取るほどの黒歴史。早く話題を変えろ!と自分の中で警告のサイレンが鳴り響いている気がする。




「…? シンタロー?おーい!」





目の前でヒラヒラと手を振るアヤノの手首を掴む。





「あの…さ、あれは違うんだよ…」





「…違うって何が?」





「いや、確かに結婚しようとは言ったけど…あれは泣いているお前を慰めるために…」





理由は分からなかったが珍しく泣いていたアヤノに混乱してその場の勢いで家族になろう、と言った。しかし、それはけっこう昔の話だし、アヤノも覚えてるはずもないだろうと俺もすっかり忘れていた。






「…指切りして約束したのになぁ」





「うっ…」





捨てられた子犬のような目をしているアヤノに見つめられて思わず目を逸らす。





止めろ、そんな目で俺を見るな…!!





「…ふふ、シンタローってば相変わらずからかい甲斐がありすぎ!!」





俺が一人馬鹿みたいに狼狽えている様子を見てアヤノがぶはっ!と吹いた。
悪戯が成功した子供みたいに無邪気に笑うアヤノは何故か憎めない、むしろ…かわいい、とか思ってしまったり…。





「…悪かったな、告白なんかして」





「…私はあの告白すごく嬉しかったよ。それが、たとえ…私を慰めるためだけのものだとしても」





夕日のせいなのかいつもより顔が赤いアヤノの頭をわしゃわしゃ、と撫でるとアヤノは更に顔を真っ赤にするとトイレ行ってくる!!と言って教室を出ていったのを何も言わず見送り、はあ、と溜め息をつく。





「…気付け、ばあか…」





先ほどまでアヤノが座っていた椅子に向かってポツリと呟いても当然返事は返ってくるはずもなかった。










――もうずっときみに恋してる――




















あとがき…


オチが迷子ww


アヤノの幸福理論を聴いてから急いで修正、シンタローはアヤノの家庭のこと何も知らないだろうな…だから、アヤノも相談出来なかったんだろうな…泣


幼いシンタローがアヤノにプロポーズとかしてたら…うん!幼馴染み設定っていいよね←







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