Diary
( TДT)
「ごっしゅじーーーん!!!」
けたたましいサイレンと共に耳がおかしくなりそうなほどでかい声が部屋中に響き、俺は眠りから目が覚めた。
「うるせえぇぇ!!!!耳がキーンってなるわっ!!」
安眠を妨害され、寝起きが悪い俺はパソコンにいるエネに叫んだ。
いい加減、耳が壊れてもおかしくないぐらいに俺は毎日、このサイレンに悩まされていた。
「おやおやご主人、そんな耳だからいつまで経ってもいい曲が作れないんですよ?」
美少女だというのにニヤニヤと笑っているのを見ると悪魔にしか見えない。
「いや100パー、お前が原因だから」
コイツが邪魔しなければ今頃、俺はメジャーアルバムを出して周りにちやほやされていたに違いない。
嗚呼、さよなら。俺の薔薇色人生。
「ご主人、人のせいにしてはいけませんよ!!いい加減、現実を受け止めてみたらどうですか?」
それとも刺激が足りないのでしょうか?、とかわいらしく首を傾げるエネを見てもはや寒気しか感じられなかった。
「だあぁぁ!!!!今日のお前、いつもに増してうぜえ!!」
早く妹の携帯のところに行ってくれないだろうか…。
「それはもちろん、今日が年に一度の大イベントですからね!!普段の何倍よりも元気なエネちゃんでいきますよ!!」
ウインクして舌を出しているのが何故か似合うな、コイツ。
言ってることは変なのにかわいかったり、かっこよかったりするだけでこんなにも違うもんなのか…うん、鏡で自分を見ると虚しくなってくるからやめよう。
「って、今日なんかあったっけ?」
「…はあ、全く…これだからご主人は…」
てっきり頬を膨らませて怒ってくるかと思っていたが予想に反してエネは呆れたように少し笑った。
「今日はあなたの誕生日ですよ」
エネはパソコンのデスクトップに表示されている日付を指してニッコリと笑った。
「…俺の…誕生、日…」
一瞬赤いマフラーを巻いたアイツが頭をよぎった。
今年もアイツに祝ってもらいたかったなんてわがまますぎるよな。
「ご主人」
「ん?」
「誕生日おめでとう、シンタロー」
エネは微笑みながらそう言うとアジトに行きましょう、と言わんばかりにパソコンから携帯へと移動した。
なんとなく去年、先輩二人とアイツが祝ってくれたのを思い出した。
――それは優しい思い出――
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2013/05/01 (17:52)