「聞いてどうすんの?」
「いや、どうって…」
「俺じゃなくてユキに直接聞けよ。はっきり言っとくけどな、俺はお前が嫌いなんだ」

さっきよりも眉間に深く皺を刻み付けた千秋さんに睨まれる。
さすがの俺も、こうもきっぱり宣言されれば傷付く。胸にぐさりと突き刺さった言葉に一度大きく深呼吸してから口を開いた。

「直接聞いても鳴海さんは絶対教えてくれないですし、千秋さんが俺のこと嫌いなのは薄々わかってました!」

思わず語気が強まる。
千秋さんが悪い人じゃないってのはわかるし、すごく鳴海さんを大事にしてるってのが伝わってくるけど、俺にとってはそれが逆に辛い。
当然のことかもしれないけど、鳴海さんと千秋さんの関係に入り込めなくて、やきもきする。
鳴海さんにとって千秋さんは、俺にとって正臣のような存在なんだろうなって思うと悔しいような思いに駆られた。

「泣きそうになってんじゃねーよ、馬鹿」

突然、ぐしゃぐしゃと髪を掻き乱される。
背の大きい千秋さんを見上げてみると、呆れたような顔をしていた。

「……お前、ユキに直接聞いてみろ」
「でもっ…鳴海さんは」
「いいから聞け!ユキに直接聞いて、それで教えて貰えなかったら俺が教える」
「今、教えてはくれないんですか?」
「幸福に何も聞かねぇで俺から聞き出そうなんて卑怯だろ、フェアじゃねぇ」

なんか、千秋さんの性格が少しだけわかった気がする。
千秋さんの台詞に小さく頷けば、しょうがなさそうな笑顔を向けてくれた。

鳴海さんに直接聞くのは緊張するけど、後で電話をしてみようと決意して拳を握り締める。

「あ、沢。と、千秋さん」
「正臣?」

千秋さんと二人ゆっくりと歩いていたら、向かい側から来た正臣と遭遇した。

「お前…どこにでも出没すんな」
「いえいえ。沢んちに行こうとしてただけなんで、たまたまですよ」

あからさまに嫌そうな声を出す千秋さんとは正反対に、呑気に弾んだ声の正臣。



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