「…何もしないって約束は?」

ポチの唇が触れた部分を摩る。
責めるような口調で聞いてみれば、バツが悪そうに一瞬だけ目線を泳がせてから、俺の頭に乗っかったままだったタオルをとる。

「もう本当に何もしません」
「嘘くせー」

真面目な顔して宣言してくるけど、今までの行動を考えるとイマイチ信用できない。
笑い声を上げながら思ったことをそのまんま口に出して言う。

「嘘じゃないですよ!…今だってキスしたいけど我慢してますもん」

無邪気な子供みたいな笑顔できっぱりと言い切られた。

「お前…馬鹿じゃねーの」

あまりにもはっきりと言われて恥ずかしくなって悪態をつく。
このなんとも言えない空気に耐えられなくなって、真剣な眼差しを向けてくるポチの頬っぺたを軽く抓ってから勢いよく立ち上がる。

「そろそろお腹空いた」
「あ、そうですね。じゃあ、コンビニでなんか買って来ます」
「お前、パシリにされそう」

時計を見てからポチも立ち上がって、あたかも一人でコンビニに行って来るみたいに言う。
ケツのポケットに財布を突っ込んでコンビニに行く準備をしているポチの背中を軽く叩いて、俺も行くと告げた。

「でも鳴海さんお風呂上がったばっかじゃないですか」
「俺が行くっつってんだからいーの。…お兄さんが好きなもん奢ってやるから」

ひらひらと自分の財布を見せ付けるようにして言ってやると、嬉しそうに笑顔を浮かべて「はい」と素直に頷く。
ただ、流石にスウェットで外に出る気は起きなくて、自分のジーパンは洗濯して貰ってるから少しだけでかいポチのジーパンを借りた。


ポチの家から出て数分でコンビニに到着する。
家を出たときにはまだ生乾きだった髪の毛が、外の風に当たったお陰かだいぶ乾いていた。



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