「えっと…あの、鳴海さん?」

やばい、やばい、やばい。
やってしまった。
自信満々だったり、急に不安そうにしたり、そんなポチのことが可愛いとか思ったりして、ポチの後頭部を引き寄せてキスをしてしまった。

自分の行動に自分が一番混乱しつつも、ポチの後頭部から手を離してから振り向いて身体をポチの方へと向ける。
俺の頭には、まだ拭いていた途中だったタオルが乗ったままだ。

「ごめん。なんつーか、その…マジで……ごめん」

そもそも、一応とは言え付き合ってるんだからいいんじゃないのか?とも思ったけど、なんとなくそうもいかない。
自分がポチを好きかどうかもイマイチ曖昧なのにキスをしてしまったという罪悪感からか、謝罪の言葉しか出ない自分が情けない。

「なんか、お前が可愛いなーとか思ったりして」
「俺が、可愛い?」
「ほら!犬とか猫にちゅーしたくなるみたいな…それと同じような衝動に駆られて」

ごにょごにょと語尾を弱めながら必死の弁解をする。
いい年した大人なのに言い訳をする自分に、きっとポチも呆れてるに違いない。その証拠に、さっきから要領を得ない言い訳を繰り返しているのをスルーされている。

「なんか言えよ」

一向に何も言ってこないことに痺れを切らして、少し強めに訴えてポチを睨む。

「え?あっ、ごめんなさい」
「いや、謝るのは俺だから。つか、お前…顔真っ赤」

何もしていないのに逆に謝ってきたポチの顔は、耳まで真っ赤に染まっていた。

俺からキスをされて相当照れているらしい。火照ってしまった顔を冷まそうと、パタパタと手で顔を扇いで風を送っている。
その姿が、さっきまで強引にシャンプーをしてくれてた奴とは別人に思えて胸がキュンとした。
そうか、これがギャップ萌えってやつか。

「まさか鳴海さんからキスされるなんて思いませんでした」
「だから…それは、犬とか猫を相手にしたみたいな…」
「それでもいいんです」

柔らかい笑みを浮かべたかと思えば、今度はポチの方からキスをしてきた。
俺とは違って、頬っぺたに。



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