「うあー、気持ち良い」

湯舟に浸かった状態で人に頭を洗ってもらうのがこんなに気持ち良いなんて思わなかった。
あれよあれよという間にシャンプーを手際よく済まされ、体の力が抜けるのと同時に、素直な感想と声にならない声を出す。
少しだけ熱めのお湯のせいで肌がヒリヒリと痛いというか、痺れたような感覚がするけれど、それすら気持ち良い。

「どっか痒いところはありませんかー?」
「んー……ない」

優しい声色で尋ねられたのに対し、素っ気なく返事をする。
その返事をしたのを合図に、
俺ん家のシャワーよりも若干水圧の強いシャワーがリンスを流していく。

「ほい。終了〜」

シャワーを止めると同時に洗い終わったことを告げられた。
弾んだ声のポチに目を向けてみると、何故だか洗って貰った俺よりも満足そうな表情になっている気がする。

「サンキュー。めちゃくちゃ気持ち良かった」
「なら良かったです」
「…お前、美容師の才能あるよ」

シャンプーして貰ったばっかりの自分の頭を軽く撫でながら本音をポロリと零すと、一瞬だけ視線をさ迷わせたポチが俺に抱き着く。

「わ、ちょ、濡れるって!」

一緒にお風呂に入ってシャンプーをさせる代わりに、ポチは服を着たままという条件をつけたお陰で、着衣のまま抱き着いてきたポチの服はみるみるうちに俺の身体についていた水分を吸って色を濃くしていく。

「お前、服濡れる!」
「もうとっくに濡れてるんで大丈夫です」
「俺が大丈夫じゃないッ」

俺の反論も虚しく余計に力を籠めてきて、抱き着くというよりも抱き締められているといった方がしっくりくる。

風呂場で暴れるのもなんだか気が引けるし、なにより面倒だったから好きなようにさせていると、満足したのかあっさりと解放してくれた。



: :



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -