どうぞ、と、コップを俺の前に置いて当たり前のように隣に座り込む。
昼間のファーストフードでの九条もそうだけど、なんでこんなにナチュラルに行動出来るんだろう。

「でも、まさか鳴海さんが俺のバイト先に来てくれるなんて」
「たまたまだよ、たまたま。第一、千秋が行きたいって言ったんだからな」

差し出された麦茶を一口だけ飲んで喉から胃までを潤す。

「たまたまでもいいんですよ」

嬉しそうにそう呟いて、ポチも目の前にあった麦茶を口に含む。

「なんか、運命感じませんか?」
「…はぁ?」

唐突にそう聞かれて思わず気の抜けた声が出た。
今に始まったことではないが、コイツの発言は脈絡がなくて意味がわからない。

「お前、その台詞好きだな」

そういえば、この間街中で出会ったときも同じ台詞を言われたのを思い出した。
全く同じ台詞なのが可笑しくて小さく笑う。

「…鳴海さん」

どことなく真剣な表情をしたポチと目が合ったと思った刹那、唇に感じる柔らかい感触。そして、瞑ることも出来ずに開いたままの俺の目には、長い睫毛を揺らしたポチが映った。

「おまっ、何してんだ!」

あまりに急すぎて一瞬は固まってしまったものの、我に返ってポチの胸板を押し退ける。
俺は、残った感触を消すかのように袖口で痛いくらいに唇を拭う。

「鳴海さん…好きです」
「え、ちょ」

何故だか泣きそうな顔でそう言うと、人の両手首を掴んで押し倒す。
抵抗しようにも、同じような体格の男にマウントを取られてしまえば勝てる筈もない。

「なんのつもり…ッ」

睨みつけて文句を言おうと口を開いた瞬間に、着ていたシャツに手を差し込まれて脇腹を撫でられた。
いきなりのことにびっくりして息を呑む。



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