「鳴海さん?」
「え…あ、ごめん」
ほんと、自分に嫌気がさす。
俺はいつまで彼女のことを引きずれば気が済むんだろう。
小さく頭を振ってからポチを見る。
まるで、犬が尻尾を垂らしたときのように不安げに見つめてくる姿が可愛いく見えて胸が痛んだ。
ポチに切って貰った髪の毛を軽く触ってから、今度は金色のその髪の毛をそっと撫でる。
「彼女…いないよ」
「…うん」
「あ、お前は?彼女とか」
空元気だとバレバレかもしれないけど構わない。
先程とは打って変わって声を高らかにあげて、次は俺がポチに質問する。
「えっ?俺は、そのっ」
まさか自分が聞かれるとは思ってもみなかったんだろう。みるみるうちに顔を真っ赤にさせていくポチ。
コイツ意外に純だな。
見た目に反した反応をするポチが面白くて、自然とニヤける口元を抑えきれないまま会話を続ける。
「その反応、片思いだろ?」
その一言でビクリと肩が小さく動いたのが見えた。
素直すぎる反応をするポチの頭を、優しく慰めるようにポンポン撫でてあげる。
「片思いか〜。頑張れよ?」
「鳴海さんっ」
「へ?な、何?」
未だ顔を紅く染めたままのポチが、頭を撫でていた方の手首をがっしりと掴んできた。
本気で恋をしている奴の顔をしているポチがかっこよくて思わずドキリとしてしまう。
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