「…最悪」

そう小さく零すと、南がこちらを振り向いた。


部屋まで来るのは、意外にもスムーズに済んだ。…というより、南の手際がよかった。
ホテルに入ると、俺のことなんか無視してすぐに部屋を選んで、無言のままここまで来てしまった。

「あー…眠ィ」

来てしまったものはしょうがない。

久しぶりに来たラブホテルの雰囲気に多少緊張はしながらも、バタリとでかいベッドへと倒れ込む。
目を瞑って意識を手放してしまおうとすると、寝転がっているベッドが小さく沈んだ。何事かと思って薄く目を開くと、上に覆いかぶさった南と視線が交わった。

「おい、何してんだよ」

当たり前のようにキスをしてこようとする南の口を右手で塞いで文句を言ってやる。
キスを制止されたのが不服に思ったのか、一瞬だけ眉根を寄せたと思ったら右手の手の平をベロリと舐められた。

「ちょ、南」

ビックリして声を掛けながら手を引っ込めるけど、手首をガッシリと掴まれて動かせない。
俺の手首を無理矢理掴んだままで、手の平や指先、指の又に遠慮無く舌を這わす。

「…っ、やめ」
「感じる?」

そう聞かれて顔が熱くなってくる。
嫌な笑みを浮かべる南にムカついて顔を逸らすと、あろうことか身体をまさぐってきた。

「や、んっ」
「相変わらず感度いいなー」
「あっ、ンン」
「乳首気持ちい?」
「…いくない、から、やめっ、ひ!」

頭を左右に振りながら抵抗しようと文句を言ったら、急に乳首を思い切り抓られた。

「痛っ!…の、くそガキ」
「涙目で言われても怖くねぇから」
「ふぅ、ん」
「宏樹さん、マゾなんだから…痛くされて気持ちいでしょ?」

相変わらず乳首をクリクリと捏ね回しながら耳元で囁かれれば、南の声が腰の辺りまで響いて股間がジンジンと疼く。




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