02






AV撮影なんて未知の世界すぎて困惑していたら、凜太郎さんが優しく教えてくれて、気付けば一人ベッドの上で全裸になっている自分がいた。

「あ、あの…どーすればいんスか。つか、女の子は…?」
「圭さん…もしかして説明してない?」

呆れたように先輩を見る凜太郎さんと、目を逸らす先輩。

「まぁ、いっか。おいおいね。とりあえず撮影始めちゃおう」

凜太郎さんの台詞の意味がわからず小首を傾げるも、今教えてくれる気はさらさらないみたいで、今は始まってしまったこの撮影に集中するしかなかった。
カメラやマイクが近くにある状態であまりの恥ずかしさに心臓が口から出てきそうだ。
AVに出てる女の子ってすげぇな、なんて感心していたら、凜太郎さんが口を開く。

「鉄くん、とりあえずオナニーしてみよっか」
「えっ」
「緊張しなくていいよ。いっつもお家でしてるみたいにすれば大丈夫だから」

そんなこと言われたって、こんな風に人に見られていたんじゃ勃つもんも勃たない。女の子がいないこの状況じゃ尚更。
つーか、男が一人でナニ握ってるAVなんて面白くもなんともないだろ。
にこにこと爽やかな笑顔でこっちを見ている凜太郎さんの目は、優しそうに見えて有無を言わせないみたいな鋭さがあった。

まだ元気のない息子におずおずと手を伸ばして握ってみるものの、うんともすんとも反応しない。
というか、勃起する気がしない。

「目ェ閉じて…いつも一人でオナニーするときに想像してること思い出して」

凜太郎さんに言われた通りに目を瞑って、お気に入りのAVの内容だったり、元カノとのセックスを思い浮かべてみた。
そうすると、単純な息子は小さく反応して頭を擡げる。段々と気持ち良くなってきて輪っかにした指で自分のモノを擦ると、自然と息も上がって部屋には俺の息遣いと自慰をしている音が妙に響いていた。

「っ、ふ…はっ、っ」
「気持ち良い?…おちんちんの先っぽからいっぱいいやらしいおつゆ垂れてきてるね」

今まで優しい言葉を掛けてきてくれていた凜太郎さんの口から突如発せられたいやらしい台詞に腰がゾクリと疼く。

「擦るだけでいいの?タマと先っぽも弄ってごらん」
「うっ、ン…は…っ、ァ」

頭ン中が痺れたみたいな感覚になって、凜太郎さんの言う通り左手でタマを揉んで右手で先っぽを刺激する。
扱きながらたまに先の部分に爪を立ててグリグリと弄るとなんとも言えない快感が背筋を駆け上がった。

「…そろそろ俺が責めてあげる」

自然と動く腰を止めることも出来ずに自慰に耽っているとベッドのスプリングが軋む音がして、気付けば上半身だけ脱いだ凜太郎さんが俺に覆いかぶさってきていた。

「りんたろ、さん?」

達する直前だったせいで息も絶え絶えになりながらなんとか声を搾り出す。
なんで凜太郎さんが俺を押し倒してくるのか理解出来ない。
頭ン中がハテナマークでいっぱいになっていたら、剥き出しだった乳首をベロリと舐められた。

「ひっ、」
「鉄くん乳首ピンクいねー。色素薄いっつーか……下手すりゃそこらへんの女の子より綺麗な色してる」
「や、凜太郎さっ!なに、んッ」

楽しそうに笑いながら人の乳首を舐めてきたかと思えば、今度は中心に触れてしまわないように丁寧に周りだけ舐められる。
同じように反対側の乳首も中心には触れずに乳輪を指で擦ってくる凜太郎さん。

「や、や…凜太郎さん、なんでっ……女の子、は?」
「ん?あぁ。これ、ノンケの男の子をいやらしーく責めるってAVだから」
「…え?え?」
「俺はバリタチだから、鉄くんはネコになって貰うからね」
「猫?いや、俺はどっちかってーと犬派ですけど…」

混乱した頭でそう言うと、吹き出して笑う凜太郎さん。よく見ると、スタッフさんや先輩も笑いを堪えてる。
…意味わかんねぇ。猫って?それにバリタチ?AV撮影の専門用語かよ。

「はははっ!うん、鉄くん可愛いね。気持ち良くしてあげるからね」
「う、っ!……はっ、凜太郎さ、ん」


 



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