02
遡ること数十分前。
泣きながら喘いでいる男の姿に、恋に落ちたなんて誰に相談出来ようか…。
告白したのはつい数日前。
無理矢理エッチをして、そのエッチの後に告って、返事はまだ貰っていない。
好きな人のアパートの玄関の前に立って、インターホンを押す。
あ、なんか緊張してきた。
「……はーい」
中から声が聞こえてきたのと同時に扉が開く。今日は仕事が休みなのか、ラフな恰好でお出ましだ。
「っ…帰れ!」
あれれ?人の顔を見るなり赤くなったり青くなったり…んでもって、扉を閉めようとするなんて失礼じゃね?
「お邪魔しまーす」
「ちょ、勝手に上がってんじゃねぇよ!お前の知り合いは隣だ」
宏樹さんの言う通り、宏樹さんちの隣には俺の知り合いが住んでる。
ちなみに、男同士で付き合ってるってカミングアウトしてきたダチの彼氏ね。
「今日はオニーサンに用あんだけど」
閉められそうになった扉を抑えて、無理矢理上がる。
こないだの情事が頭を過ぎってしまうのか、頬っぺたを赤く染めながら怒って俺を追い出そうとしてくる。
「こないだ付き合ってっつったじゃん。返事聞きに来た」
「…馬鹿!てめぇみてえな強姦変態野郎なんかと誰が付き合うか、出てけ」
あ、今のは流石の俺でもカチンときた。
泣きそうになりながら言われて、カチンときたと同時に、俺の中のサドの部分にもなんかきた。
「俺が変態なら、宏樹さんは隣に住んでる俺のダチのセックスを聞きながらオナニーするド変態だな」
決して嘘は言ってないと思う。…というか、鎌をかけてみる。
前に間違って宏樹さんちに来たときに、それっぽい臭いしてたし、顔赤かったし。
「な、なんでそれ」
おお、ビンゴ。