好きでいてもいいですか






「彼女と別れちゃった」








なんでいつも俺に報告しに来るんだろう。
その台詞に俺がどんなに喜んでるかもわからないくせに。














叶わぬ恋2














「今回は長かったね」
「なんだよその言い方。嫌味っぽい」
「なら報告しに来ないで」

椅子に後ろ向きに座っているそいつにそう言ったら拗ねたように唇を尖らせる。

「あーあ、フラれちゃった」
「彼女にフラれたの?」

そう聞くと、俺の顔をジィッと見てから指を差してきた。

「先輩に!」
「……………」
「あ、でも彼女にもフラれた」

そいつは立ち上がって俺の横に立つ。そしてピアノの鍵盤を一つ、ポーンと軽く押した。

「先輩、なんで合唱部なんか入ったの?」
「ピアノ弾きたかったから」

ふーん、と、興味なさそうにそう言うと、側にある窓から校庭を覗いて、部活をしている人や今から帰ろうとしてる人たちを見ている。

「こっから校庭丸見え」

そう言うと、窓ガラスを指でピシッと弾いた。

「先輩、いっつもこっから俺らのこと見てたでしょ?」
「え?」

ニヤニヤと笑いながら近付いてくる。
俺はどうすればいいかわからずに目を逸らすことしかできない。

どうしよう…なんでバレたんだろう?

「バレバレだったよ」

耳元でそう囁かれて、顔がカッと熱くなった。
まだ耳元にある唇からは、クスクスと小さい笑い声が零れている。

俺が動けなくなっていたら、唇にチュッと軽くキスされた。
いきなりのことで目を閉じることさえできずにすぐに離れる。

「俺もずっと先輩見てたからね」

そう言い残すと部室から出て行ってしまった。

一人ポツンと残った部屋で自分の唇を指でなぞってみる。
さっきの唇の感触がまだ消えなくて変な感じがする。

ふいに窓から外を見てみたら、あいつがこっちを見ていた。
だけど、小さく笑みを零してすぐに走って行ってしまう。


















まだ、好きでいていいのかな?



 



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